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メルマガ30号 女性差別撤廃条約についての日本政府報告書への意見

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.035 2015年04月04日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
http://paps-jp.org
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≪転送歓迎≫
【女性差別撤廃条約についての日本政府報告書への意見】

ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS) は、昨年、日本女性差別撤廃条約 NGOネットワーク(JNNC)に参加し、国連に設置されている女性差撤廃委員会に日本国内におけるポルノの実態について意見を報告する機会を得ました。

JNNCは2002年に結成され、女性差別撤廃委員会において日本の状況が問題として取り上げ、いろいろな面から論じたり批評したりするときに、NGOとして意見を述べてきました。なお、JNNCは現在50あまりの団体が参加しており、日本国内の女性差別の状況とその解消に向けて多面的な論議がなされています。

2014年に日本政府は第7次・第8次の報告書を提出し、2015年7月に開催される女性差別撤廃委員会においてこの報告書が審議される予定です。

女性差別撤廃委員会の審査の前に「事前作業部会」が持たれます。JNNCは本審議と作業部会へ向けてのNGOレポートの取りまとめをしています。

PAPSとしては、JNNCを通じて日本国内におけるポルノの野放し状態について注意を喚起しようとしています。今後女性差別撤廃委員会にJNNNCを通してPAPSの意見がどのように反映されていくのか論議が尽くされていない段階ではありますが、PAPSとしての女性差別撤廃条約第6条に関連してポルノ被害について基本的な意見を表明いたします。

【 女性差別撤廃条約 第6条関連の要望(PAPS) 】
【意見】児童買春・児童ポルノ禁止法によって、児童ポルノは児童の権利を著しく侵害することを根拠に児童ポルノの制作・提供・所持等を禁止しているが、成人女性の身体を使用して作製頒布されるアダルトビデオにおいても、下記に述べる理由で、女性に対する著しい権利侵害が認められる。アダルトビデオの需要の抑制および被害女性の救済のための国内法の整備について検討されたい。

【理由及び背景】
・実写のポルノグラフィは、生きた女性の身体を性的に使用する権利を、プロダクションがメーカーに販売し、メーカーが実際に女性を性的に使用することによって制作される。その意味で、実写ポルノの制作は、女性の性的売買(セックス・トラフィッキング)の一種である。ポルノグラフィは、「表現」となる前に、不可避的に性売買が行なわれることに目が向けられる必要がある。

・今日、日本で制作・販売されている実写ポルノの大半は、(かつてのような擬似セックスと違って)実際に女性が、男性と性交させられている。その意味で、実写ポルノは制作過程で、実質的な意味において、売買春が行なわれることによって制作されている。

・今日、非常に多くの若い女性(非常にしばしば未成年を含む)が、だまされ、脅され、強制されてポルノ制作に使用される被害にあっている。その正確な規模と実態はまだベールにおおわれて不明だが、ほぼ唯一の支援活動を行なっている民間グループ(PAPS) に、被害相談が押し寄せている。だがそれも氷山の一角であると思われる。

・CEDAWでは、これまでも、ポルノグラフィがジェンダー・ステレオタイプを強化し、女性(とくに懸念されるのは少女)の自尊心を傷つけていることが指摘されてきた(5条関係)。いいかえると、ポルノグラフィが男性の暴力的で支配的な性役割とセクシュアリティを、そして女性の従属的な性役割やセクシュアリティを強化しているおそれである。そしてその懸念は、インターネットの普及が可能にした(紙媒体の時代をはるかにしのぐ)ポルノグラフィの大量制作・大量流通・大量消費の時代をむかえた今日、ますます深刻化している。

・日本政府は、ようやく児童ポルノの単純所持を禁止し、児童ポルノの需要抑制に踏み込んだ。また、いわゆる二次元児童ポルノ規制の是非についても、議論が続いている。後者の規制は、「ポルノの消費被害(ポルノの使用消費者が、ポルノを使用消費することによって、ポルノで描かれている集団や個人に害を与えることによる被害)」を認めることにつながる。

・こうした児童ポルノ規制における進展と議論を、単に「児童」ポルノに限定させることなく、より大きく本質的である「成人」ポルノ、つまりポルノグラフィ一般に広げていくことが、性差別の撤廃をめざす日本(だけでなく世界の)市民社会と政府にとっての重要な課題である。
(参考)6条:締約国は、あらゆる形態の女子の売買及び女子の売春からの搾取を禁止するためのすべての適当な措置(立法の含む)をとる。

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『森美術館問題と性暴力表現』(不磨書房 2013.8)1890円+送料
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代金の授受:振り込み用紙を同封しますので、本が届き次第なるべく早くお支払い下さい。
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メルマガ29号 売春防止法改正(売春防止から女性支援へ)

≪転送歓迎≫

【売春防止法改正の動き】
 最近、売春防止法の改正を巡っての動きが活発になってきました。
売春防止法は女性の権利擁護に携わっている弁護士であってもその内容を詳しく知らない人がいるというわずか40条の極めてマイナーな法律です。存在としてはマイナーな法律ですが、性を扱っているという点で非常に重要な法律の一つです。
1956(昭和31)年に成立し、成立当時からザル法と揶揄され、法律の根幹をなす理念部分がまったく改正されないままに約60年が経過してしまいました。現在では、法律の存在自体が女性の尊厳や権利を甚だしく侵害する旧弊な法律になってしまっています。
 壮大な社会的装置である買売春問題を扱う法律にもかかわらず、約60年間も放置されてきたために今となってはどこから手をつけていいのか分からないくらいに課題は山積しています。山積している課題のうち代表的なものをいくつか上げます。

課題その1 女男の社会的経済的その他もろもろの不平等を前提とするから成立する買売春ですが、女男の平等推進の理念がまったくない法律です。

課題その2 売春をしている女性が買売春を助長する行為をしたとして処罰や更生、保護の対象になっており、買う側の客の姿がまったく見えません。従って、女性の性を買う客は、どんなに頻繁に女性の性を買っても何のおとがめなしでのうのうとしています。悪いのは女性と業者という論理で構成されている法律です。

課題その3 売春を助長する行為で有罪判決を受けた女性が執行猶予になった場合は、その女性は将来売春を助長する行為を侵す恐れがあるとして“補導処分”に附し婦人補導院(八王子少年鑑別所に併設)に収容することができます。これは明らかに保安処分の一種で憲法違反です。

課題その4 買売春は性を売買する壮大な社会的装置となっているにもかかわらず、国家や地方自治体の行政責務がまったく問われていません。

課題その5 法律用語として現在では不適切な用語(収容、指導、要保護女子、婦人等)が使われています。女性たちが婦人保護施設を利用した場合、彼女たちは“収容”されているのです。

 売春防止法を主たる根拠法として設置されている婦人保護施設などで構成される全国婦人保護施設等連絡協議会(全婦連)では、ながらくこの法律の改正を求めることに消極的でした。一部の有意の現場の人々が改正を訴えているに過ぎない状況が続いていました。
昨年の全婦連の全国大会において、これら一部の人々の動きがようやく実り、売春防止法改正を求める総意が決議されるに至りました。
その後、法改正を求める総意を実現すべく全婦連として、上川陽子法務大臣、塩崎恭久厚生労働大臣、有村治子内閣府特命担当大臣あてに、「売春防止法に係る要望書」を提出しました。

 2015年1月24日(土)に全婦連の内部組織の一つである東京都会福祉協議会婦人保護部会が主催するシンポジュームが都内で開催されました。
 シンポのタイトルは「要保護女子の収容・保護・更生から女性の人権へ~今こそ変えよう売春防止法~」でした。法律で使われている差別的な用語をあえてタイトルにすることで改正の必要性を訴えています。シンポジストは、お茶ノ水女子大名誉教授の戒能民江さん、弁護士の角田由紀子さん、千葉県サポートセンター所長で全婦連副会長の浅野由美子さんが登壇しました。
戒能さんからは2012年に厚生労働省に設置された「婦人保護事業の課題に関するあり方検討会」座長としての論議を踏まえて、現在の婦人保護事業全体の状況の解説とともに今後のあるべき姿として、行政による措置・指導・援助から権利体系として法を整えることによって「あらゆる女性たちの人権保障」を求める提言がありました。

 角田さんからは、2013年に日弁連として取りまとめた「刑法と売春防止法の一部削除を求める意見書」を踏まえながら、売春防止法と裏腹の関係にある風営法の性風俗関連特殊営業の問題点を指摘しました。その上で、女性の人権擁護を明確に定めることを提案されました。
 浅野さんからは、売防法による婦人相談所機能とDV防止法による配偶者暴力相談支援センターの機能を併せ持つ現場の状況を伝え、押し寄せる相談に対応しきれなくなくなっている現状について訴えがありました。

恐らく、全婦連としては今後順次関係各大臣に直接面談して改正の必要性について要望する動きをさらに活発化させることになると思われます。
 売春防止法改正をめぐって、目が離せない動きが活発化していることをお伝えしましたが、今後順次この動きについてはメルマガでお伝えしていきます。

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メルマガ28号 PAPSに寄せられるAV出演被害について

≪転送歓迎≫
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
 とはいえ、暮れの総選挙の結果といい、1月に入って8日にパリで起きたテロ事件といい、希望を探すのが困難な政治・経済・社会の状況ではありますが、魑魅魍魎(ちみもうりょう=私利私欲のために悪だくみをする者のたとえ)がうごめくパンドラの箱の最後に残っていたものが“希望”であったという故事をこのような状況だからこそ信じたいと思います。最後に残っている“希望”を見つけ出すのは私たち一人ひとりのなすべきことだと思うのです。そしてその“希望”を見いだした一人ひとりがこんな“希望”があるよーと伝えあうことが大切ではないでしょうか。

 ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)が結成されたのは2009年の春でした。その前年に行った理論社への抗議運動を加えれば、営々と足掛け8年にわたって、ポルノには被害があるのだ、表現の自由の問題なんかじゃない、ポルノは女性(女性とは限らないのですが)に対する重大な人権侵害だと訴え続けてきました。

 現在、私たちは、特別な窓口を設けて被害者相談に乗り出しているわけではありませんが、ホームページやそのほかの手段により私たちの活動を知った被害女性や被害男性から直接被害救済のSOS相談が寄せられるようになりました。

 具体的な被害相談を通じて芸能プロダクションや制作会社、ネットプロバイダーの悪辣極まりない手口も次第に分かってきました。どんなに悪辣であるかはこのメルマガを通じておいおいお伝えしようと思います。

 私たちが具体的な被害として認識している被害はどのようなものでしょうか。極めて甚大な被害として、ネット社会では、一旦流出したポルノ映像はもはや消去できないという被害です。

 ポルノを見て楽しむのは趣味の問題で個人の自由だ、という意見があります。また、ポルノは視覚表現の一種なのだから、表現の自由は守られてしかるべきだという意見もあります。私たちは、いや、そんなことはない、ポルノは表現の問題ではなくて、人権侵害の問題だ、ポルノには被害者がいる、ということを訴えてきました。

 ポルノが紙媒体で広がり、“楽しんで”いた時代はもはや極めて牧歌的なものになりました。私たちのところに寄せられる相談の究極の目的とするところは、ネットに流されている自分の映像を消去して欲しいというものです。しかし、ネットの特質上、この願いを適えることができません。せいぜいのところ、業者のネット頒布を差し止める働きかけぐらいしかできません。もちろん、頒布差し止めを求めて業者と交渉するだけでも容易なことではありませんし、うまくいくとは限らないのです。

 相談を寄せて来る女性たち、男性たちの最大の苦しみは、ネット上の自分の動画や写真がいつ友人知人、家族にばれるか分からないという際限のない悩みにさいなまれることです。また、見ず知らずの人間であっても誰かが自分の映像を今この時にも見て楽しんでいると考える苦しみです。この苦しみには終わりがありませんし、救いがありません。

 ポルノを見て楽しんでいると思っている人たち、ポルノには被害者がいないと思っている人たちは、そのポルノは生身の人間の身体を使用して作成されているのだということを忘れています。その生身の人間は、合意し、対価を得ているのだから良いではないかという意見があります。その合意は正当な状況下でなされた真っ当な労働契約でない場合もあります。ポルノを見て楽しんでいる人たちはこのポルノが正当な労働契約の元で作られているものだとどのようにして識別しているのでしょうか。その対価はネット上に半恒久的に流され続ける状態に対する正当な対価が支払われているとなぜ分かるのでしょうか。

 自己の性的欲求充足のために他者の了解を得ることなくその身体を性的に利用してはならないと考えます。

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メルマガ27号 横浜・市民企画講座 ≪ワークショップ≫開催の模様

≪転送歓迎≫

先月22日(土)に、横浜市のフォーラム(男女共同参画センター横浜)にて、「誘われていませんか? 駅やストリートでのキャッチが危ない」というタイトルで、横浜市の男女共同参画センターが実施する「市民・NPOがつくる男女共同参画事業」の一環として市民企画講座を開催しました。

現在、駅頭や繁華街などで、スカウトマンがしきりに若い女性たちに、ちょっとしたおいしいバイトがあるよーとか、君はルックスがいいからアイドルになれるかも・・という甘い言葉で囁き誘いをかけています。中にはまじめに芸能界の途を示すスカウトマンもいるかも知れません。しかし、そのような甘い誘いに乗ってついて行った挙げ句、とんでもない性暴力を伴うAVを撮影され、商品として発売・流布されて取り返しがたい性被害を受けた高校生や女子学生など若い女性たちが後を絶たないのも事実です。

ポルノビデオ撮影に誘い込む悪質なスカウトマンの横行に危機感を抱いて、横浜市の男女共同参画センターの協力を得て、ポルノ被害防止の啓発活動の一環として市民企画講座を開催しました。横浜市内の大学、短大、専門学校、高校、中学を中心に「誘われていませんか? 駅やストリートでのキャッチが危ない」のチラシを配布しました。

配布している期間中にも、横浜市内のある大学の学生課から、実はうちの学生がスカウトに誘われてついて行ってしまい、対応に苦慮しているとの相談が飛び込んできました。この件は相談の時期が極めて速くしかも対応が迅速であったために事なきを得ました。

チラシ配布中にこのような反応が寄せられたものですから、手ごたえを感じ、私たちのワークショップは大成功するに違いないと期待に満ちていました。

ところが、蓋を開けてみたら実際に参加して下さった方は12名という状況で、主催者としては気落ちがしたというのが正直のところでした。

しかしながら、この数少ない参加者はほぼ全員が丁寧に私たちのアンケートに答え、貴重なご意見を寄せて下さっていました。私たちは、このアンケートを読んでとても励まされ、参加者は少なかったけれども開催して良かったと思えるようになりました。

以下にアンケートの内容をかいつまんでご紹介します。なお、従来私たちの開催するシンポなどでは必ず攻撃的であったり否定的であったりする意見が寄せられるのですが、そのような意見は一つもありませんでした。

*ポルノ被害の実態を知らなかった。驚かされた。もっとこの被害についての理解が広めるようにしたい。
*女性の性被害に対する男性の理解が少ないことを実感した。社会全体で取り組まなければならない問題だ。
*子どもや女性が声を上げることができない環境も問題だ。
*ポルノの流布による被害が続いていることに恐怖を感じる。
*日本は恥ずかしい国だ。AVを「趣味」にして普通に楽しむ人に実態を知ってもらいたい。
*被害を受けた人のその後を思うと本当に辛いことだ。「慰安婦」問題をきちんと学び、再びこのようなことが起きないようにしてこなかったこともポルノの流布に影響をしているのではないか。
*女性にとって生きやすい社会になるように。
*広報の仕方が難しかったと思う。大学や高校の先生がたにもっと知ってほしい内容だ。

≪出前講座をします!≫
「誘われていませんか? 駅やストリートでのキャッチが危ない」
 私たちの生活空間には、女性を性的対象にした情報や商品に満ち溢れています。「芸能界に興味ない?」などとスカウトに声をかけられる高校生、大学生、若い女性たちは、身近にたくさんいます。言葉巧みに言い含められて、とんでもない性暴力・性被害を受ける例が増えています。豊富な事例をもとにご一緒に考えましょう。
【第1部】アイドルに憧れていく付く先は?
【第2部】ポルノ被害について考える

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メルマガ26号 横浜・市民企画講座 ≪ワークショップ≫ 開催のお知らせ

≪転送歓迎≫
横浜・市民企画講座 ≪ワークショップ≫ 開催のお知らせ
「誘われていませんか? 駅やストリートでのキャッチが危ない」

日時:2014年11月22日(土) 14時~16時
会場:フォーラム・男女共同参加センタ―横浜 2階セミナールーム
   JR・横浜市営地下鉄:戸塚駅徒歩5分
資料代:1000円(学生500円、中・高生無料)
保育:予約制 045‐862-5052
企画実施:ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)
2014年度横浜市男女共同参画センター「市民・NPOがつくる男女共同参画事業」
チラシ:ワークショップチラシはこちらからダウンロードできます

 私たちの生活空間には、女性を性的対象にした情報や商品に満ち溢れています。
「芸能界に興味ない?」などとスカウトに声をかけられる高校生、大学生、若い女性たちは、身近にたくさんいます。言葉巧みに言い含められて、とんでもない性暴力・性被害を受ける例が増えています。豊富な事例をもとにご一緒に考えましょう。

【第1部】アイドルに憧れていく付く先は?
(1)駅や街でのスカウト実際
 個人の情報に抵触しないように気をつけながら、PAPSのスタッフが相談事例をもとに、駅やストリートで誘われた若い女性たちがそれとは知らずに結果的にはポルノ撮影に引き込まれる実態を伝えます。自分はしっかりしているから”大丈夫”ではないのです。芸能事務所に行っても嫌だったら”断ればいい”のではないのです。

(2)婦人保護施設にたどり着いた女性たちの実態
 婦人保護施設は性暴力被害にあって生活基盤を破壊された女性たちが生活再建することを支援する施設の一つです。長年その施設で女性たちの生活支援を行ってきた施設長が施設から見える女性の性暴力被害の実相を伝えます。

【第2部】ポルノ被害について考える
 「ポルノは愛好者が楽しむもので実際の被害などない」と言われています。果たしてそうでしょうか?ポルノという商品を生産し流通させ消費する過程でどのようなことが起きているのかを見てみましょう。

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メルマガ25号 マンガとアニメの世界 いまだに日本では子どもは性的対象なのだ

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「マンガとアニメの世界  いまだに日本では子どもは性的対象なのだ」
~ようやく日本でも児童ポルノの単純所持は不法となった。しかし、子どもをマンガやアニメで性的に描写することはこの範疇ではない。~アルジャジーラ(2014.8.11)

 2014年6月18日、国会にて児童ポルノ単純所持の処罰化を含む法改正がおこなわれ、7月15日に改正法が施行されました。日本では1999年に児童ポルノの販売目的での製造や所持が禁止されるいわゆる児童買春・児童ポルノ禁止法ができ、2004年には販売目的ではなくともあらゆる目的での児童ポルノの製造(いわゆる単純製造)やインターネットへの流通を禁止しました。しかし、個人が児童ポルノを性的な目的のため意図的に所持すること、いわゆる単純所持の禁止はなされてきませんでした。それがついに最初に法律ができた時から15年もかかって単純所持禁止を含んだ法改正が行われました。日本はOECD34か国の中で、単純所持を処罰していない唯一の国であったこと、アニメなどの性表現には手がつかなかったこともあいまって、今回の法改正は、CNNやアルジャジーラなどの海外メディアの関心も集めるところとなりました。

なぜ日本ではこんなに児童ポルノが氾濫し、それにもかかわらず、なぜ単純所持の処罰までにこんなに時間がかかったのでしょうか?

 第一の原因は、成人女性を描いたポルノの氾濫の問題があります。インターネットを通じてこうしたポルノにアクセスできるのはどの国でも同じかもしれませんが、北米のように成人女性のポルノを購入する為に大人向けのたばこや酒やそうした雑誌の販売店に行く必要はありません。ハードコアのポルノ雑誌が、コンビニエンスストアの店内で通常の雑誌コーナーの隣に、アダルトオンリーとかかれた簡易板でしきられ、簡単なシールをして売られています。猥褻の基準はまともに機能しておらず、ゾーニングもされていない通常の雑誌のグラビアには、女性のフルヌードが掲載され、それらがビニール袋などでおおわれることもなく売られています。

17歳くらいの制服をきた人気アイドルグループの少女も、上半身は制服、下半身は水着といったスタイルで写真をとられて通常の雑誌のグラビアとして売られています。車内のつり革広告、新聞の広告、あらゆるところに女性や少女の水着姿があふれ、ポルノ雑誌が蔓延しているのに私たちはそのおかしさに気づくことさえできなくなっています。

 こうした成人の女性のアダルト雑誌の日常生活での氾濫は、女性を性的対象とみなすのが当たり前だ、というポルノへの過度の寛容性を生み出します。日本では、誰もたとえば米国やカナダでは当たり前の、ゾーニングがきちんとなされた、ポルノにふれたくなければふれなくても済む社会というものを経験することができません。日本ではポルノを見たい人の権利・ポルノにアクセスできる権利のみが一方的に守られており、ポルノを見たくないと思う人がポルノにふれないで済む日常を送る権利は保証されていないのが現実です。

 このように女性を性的対象として商品化する成人ポルノが氾濫する社会では、少女や少年を商品化していてもそれを社会にとっての重大な問題だと意識することができなくなってしまいます。女子高生の制服姿というのも、アダルトポルノの主要な一つのジャンルとして残っているのにそれがおかしいとも思わなくなっています。海外のメディアからは、なぜそんなに制服が性的対象となるのか?という質問をうけます。

また、成人女性のより過激なポルノが氾濫している中では、小中学生が被写体とされ極小の水着をつけているような「ジュニアアイドル」いわゆる「着エロ」のDVDも、成人ポルノと比較すれば大した問題ではないかのように思われがちです。こうした「ジュニアアイドル」とよばれる児童ポルノは、親に子どもの出演契約を結ばせ、違約金を払うよう脅迫して撮影をせまるというまさに人身売買ともいえる製造の実態があることや、将来のアダルトビデオ出演につながる事例があることなどがわかってきています。

児童ポルノの定義が改正され、一部の着エロは処罰化されようになるでしょうが、処罰化されない(児童ポルノの法的定義にみたないものは子どものエロチカともいえるでしょう)ものも多く残っていくと思われます。子どもをアダルトビデオと同じような角度からDVDを撮影して性的対象として取り扱い、販売して商業的に搾取してゆく。まさに子どもへの性的搾取に違いないのに、合法のまま多くが残されていく。これらの「着エロ」の問題は法改正後にも残る重要な問題の一つだと思います。

 またもう一つの法改正後に残る重要な点として、アニメや漫画における子ども達への性暴力表現の問題があります。今回の法改正では、以前の改正案には含まれていた、漫画やアニメなどの実在していない子どもを描く性表現と子どもへの性犯罪との間の関連について調査研究を推進するという附則が落とされました。しかし、こうした調査の必要性が重要で必要なことに変わりはありません。漫画などでは実際の子どもが含まれていないとはいえ、小学生へのレイプ、兄弟による妹への性虐待などなんでもありで描かれているものがあります。それらが形式的にすぎないゾーニング(店の床にサインがあるだけなど)のまま売られているのが実情です。子どもに対して子どもが描かれた性表現をみせることは性虐待の一つです。少なくとも販売に際して厳しいゾーニングを実施することは最低限求められることだと思います。

また、カナダやオーストラリア・ドイツ・フランスなどでは、実在しない子どもも含めて児童ポルノと定義し、単純所持を処罰するという法律を持っています。これらのアニメや漫画の児童への性暴力を描いた表現をどうするのか、日本でも、検討すべき重要な課題だと思います。

(独自の観点から世界的に発信し影響力のあるメディア、アルジャジーラが日本の活動団体に児童ポルノに関する寄稿を求めてきました。アルジャジーラに掲載された原稿に筆者が手を加えたものを、筆者の許可を得て転載します。)

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メルマガ24号 「性的搾取を禁止する法律が欲しい」私たちの決意

AVに出演していて、困った問題に直面された方はこちらをクリック…AVに出演させられそうになっている方はこちらをクリック…

「性的搾取を禁止する法律が欲しい」私たちの決意

PAPSは「AV 違約金」「AV出演させられそう」という検索キーワードで検索された方からの相談を受けることがあります。話を伺うと、そのほとんどが、「親に言うぞ」「学校に言うぞ」「違約金を支払え」と脅かされ、AV出演契約書に同意を求められます。20歳前後で法律に詳しくない方にとっては、そこで恐怖心を感じ、不当な要求に逆らえずに「契約書にサインしてしまった」「お金をもらってしまった」という事実に縛られて自分を責めたり、自分を被害者だと感じられずに心身にさまざまなダメージを受けてもどこにも相談できずに過激な撮影に応じてしまわれます。

 なお、このメルマガでいうAV撮影とは、対価を受け、または受ける約束で、性行為や性行類似行為を伴う撮影を行うことを指します

 AV撮影現場で明らかに性暴力を受け、不当な搾取に曝されているのに、現在はこの状況を救済する法的な枠組みがありません。どのような状況が展開しているのか、まずは私たちが把握している事実をお伝えしす。

 例えば、ある大手のAV制作会社では、署名押印する様子をビデオカメラで録画し、被害を訴えないように仕向けます。たとえ警察に訴えても、脅迫罪や性犯罪の構成要件が高いために、民事の問題として扱われてしまい、芸能事務所や制作会社の行為は刑事的な取締りの対象にならないのが現状です。なぜならば、証拠となる録音が無いこと、「親や学校に言うぞ」というのは脅迫罪でいう害悪告知になりにくいこと、強姦罪、強制わいせつ罪では、「相手方の抗拒を著しく困難にする」という「強度の抵抗要件」が必要であり、必至になって抵抗したことを証明しなければならないためです。

 例えば、大手のAV制作会社の撮影現場では、1回の撮影で場合によっては4~5人もの男性との“絡み”(性行為)が要求され、たとえ「子宮が痛い」と訴えても撮影は継続され、これらの映像は、自ら望んで出演したごく普通のAVとして、大々的に販売されている現状があります。いま精一杯頑張れば、いつか報われて仕事内容だって自由に選べるようになれると信じ込まされますが、実際はそうはなりません。これを何回も繰り返されることで、あたかも外形的に自分が同意したかのように装われ、もう後戻りできない状況に追い込まれます。大抵の女性たちは、同級生や家族に知られることを極度に恐れています。それを逆手に利用して、親にばらすぞなどと脅してさらに孤立させることに成功し、完全に抜け出せない状況を作り出します。現に“親バレ”、“身バレ”などという言葉が飛び交っています。

 「自分で仕事を選ぶことができる」「脱がない仕事だってある」「プライベート重視」「自分の夢のために」などと言葉巧みに言いくるめられてAVの出演に同意された方であっても、実際に撮影に臨んでみて過激なポーズや行為を要求された場合に、それは出来ないと断ることができるはずです。しかし、実際には、契約があるじゃないかとか多額な違約金が要求されるなどと脅しを受けます。“契約”をして撮影に臨めばもう選択の自由がほとんど無いと本人に思わせるのが実情です。

 人の弱みに付け込んで意のままに労働させることおよび各種労働法規の規定を超える不当な労働を搾取労働といいます。それが性的な表現を用いたものであれば「性的搾取」になります。

 特に、AV出演の勧誘は法律の知識がない20歳前後の女性がターゲットになっています。出演契約(業務請負契約)は絶対だと信じ込まされ、AV制作会社が大手であればあるほど、拒否したい行為を要求されても、そのあと何をされるか怖くて、訴えにくい現状があります。本来であれば、アダルトビデオ出演の契約そのものは「公序良俗」に反しており、民法90条(公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする)により無効になりますが、例えば、以下のような行為は、実際にAVの現場で行われていますが、取締りの対象になっていません。

【出演に関して】
1. 勧誘してAVに出演させる行為
2. 困惑させ、あるいは騙してAVに出演させる行為
3. 当人の意思に反してAVに出演させる行為
4. 前借金をさせAVに出演させる行為
5. AV撮影をやめたい意思表示をしたときに違約金などを請求する行為
6. 妊産婦をAVに出演させる行為
7. 軽度な発達障がい・軽度な知的障がいを抱える方をAVに出演させる行為
8. 医師の処方箋等で向精神薬を服用されている方をAVに出演させる行為

【AV撮影について】
9. 事前に取り決めのない行為を要求する行為
10. 避妊具無しの性行為、膣内で射精する行為、顔の一部または全部に精液をかける行為
11. 公然わいせつ罪に問われる行為
12. AV撮影中に撮影をやめたい意思表示をしたにも関わらず撮影を継続させる行為

【虐待的なAV撮影について】
13. 身体的暴力・精神的苦痛を与える行為
14. 窒息・うっ血・炎症・(内出血を含む)出血をさせる行為
15. (昆虫・魚類・両生類・爬虫類・哺乳類等の)動物や植物を性器・肛門・口腔等に挿入したり、舐めさせたり体にかける行為
16. 性器・肛門・口腔・乳首を酷使させる行為
17. 糞尿や体液(自身のものも含む)を性器・肛門・口腔等に挿入したり舐めさせたり体にかける行為
18. 性器・肛門・口腔に対し痛みや出血を伴う器具や衛生的ではない指や他者の腕等身体の一部を挿入する行為
19. 食品衛生法に準じないもの(墨汁や花火等いわゆる性具とは到底認められないもの)を性器・肛門・口腔等に挿入したり舐めさせたり体にかける行為
20. 食品衛生法に準じるものであるが危険性が伴うもの(アルコール類、熱湯・冷水、薬品類)を、性器・肛門・口腔等に挿入したり舐めさせたり体にかける行為
21. 膣鏡や内視鏡等を用いて膣腔や子宮を撮影する行為
22. 一時的な苦痛を取り除くために(抗不安薬を含む)向精神薬、(局部麻酔薬を含む)麻酔薬を用いてこれらの一部または全部に準じる行為

 ある女性は、月額10万円以上の高額なマンションに住まわせられ、ダンスのレッスンや、美容整形手術をするように言われ、これらの費用を前借金として負わせられて、知らない間に決まっていた複数のAVに出演することで返済していくように言われました。これは労働の不当な搾取構造そのものであり、戦前の芸娼妓契約(身売り)の現代版といっても過言ではありません。あまりにも残酷です。

 もし、この女性が支援団体に相談して以降の出演をしなくて済んだとしても、生涯にわたって背負うことを要求され苦しめるものがあります。例えば、その後の示談によって裁判に訴えないことを約束させられたり、機密条項を設けることによって第三者へ話すことを禁じられたりします。また、被害女性は、勇気を出して被害を社会に訴え出れば、メディアの注目を浴びてしまい、多くの人に見られてしまい、更に追い詰められてしまうことを恐れます。二次被害です。違約金は支払わなくて済んだとしても、女性に不利な示談や、泣き寝入りを余儀なくされたり、示談などで販売店からビデオが回収されたとしても、インターネットで頒布されたものの回収は現実的に厳しいことから、ずっと怯えて暮さなければなりません。しかし、プロダクションやAV制作会社はそのまま温存され、同じような被害が繰り返し行われている現状があります。

 PAPSでは、複数の相談者の方と接してきました。今足りないのは、AVに巻き込まれた多くの女性たちが置かれている状況を「性的搾取」「性的暴行」のひとつとして定義し、規制したり禁止する法律です。性的搾取をするプロダクションやAV制作会社の責任を明確化し取締りの対象とし、頒布されてしまったビデオを回収できる法的枠組みを作ることを社会や政府に訴えていきたいと考えております。

2014/07/07:一部修正

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メルマガ23号 ほうっておけない第8回安吾賞――人権の視点から

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.028 2014年06月18日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
http://paps-jp.org
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転載歓迎

「森美術館問題と性暴力表現」(不磨書房 2013年8月刊)に『「芸術」の驕りと女たちの沈黙』を執筆された西山千恵子さんを中心にして下記のシンポを企画されましたので、お知らせします。
今週の日曜日、新潟です!お知らせが遅れたこと、申し訳ありません。2013年冬に問題提起された「森美術館問題」―表現を通じての性暴力表現を糾弾―は、問題をさらに一般化して、様々な人によって論じられるでしょう。

西山千恵子さんからのOriginal Message—–

「ほうっておけない第8回安吾賞――人権の視点から」
【日時】2014年6月22日(日)午後1時30分~4時00分
【場所】クロスパルにいがた・5階 交流ホール1
http://www.city.niigata.lg.jp/chuo/shisetsu/manabi/kouminkan/chuo.html

【パネリスト】
・西山千恵子/青山学院大学非常勤講師
「検証:第8回安吾賞の作られ方・語られ方――それで、勇気、もらいました?」
・澁谷 知美/東京経済大学准教授
 「性犯罪経験があるかもしれないと人に思わせる『汚れたイメージの作家』を市が表彰することはなぜ問題なのか」
・牟田 和恵/大阪大学教授
 「女性を沈黙させる性暴力表現・性犯罪」
・北原みのり/ラブピースクラブ代表 テーマ未定

ほか交渉中

資料代500円 要・事前申し込み 先着50名
☆氏名、電話、所属を下記までご連絡下さい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
連絡先:メール tomkom0115@yahoo.co.jp
    FAX・電話 025-250-5085
主催:安吾賞を考える会(仮)
協力:にいがた・文化を愛する会 にいがたジェンダーゼミ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

以下はWANの記事からの抜粋です。
http://wan.or.jp/reading/?p=13757 もご覧ください。
随時、更新されます。

会田誠氏への新潟市安吾賞授与にNo!  
芸術といえば何でも許されるのか連絡会(準)

手足を切断され、首輪を嵌められた全裸の女児・女性を描いた「犬」シリーズなどで知られる会田誠氏に対し、新潟市は第8回安吾賞を授与し、市民の税金から副賞100万円を贈りました。会田氏の作品は、性暴力を肯定し、女性の人権を侵害するものとして批判を受けています。その上、会田氏は、過去に公衆便所等に侵入し、女性の排泄行為をのぞき見ていたことをほのめかしています。実際の女性への性的加害疑惑をも自身の作家イメージ=芸風に取りこんで、便所のぞきを主題とした小説も再版しました。行政がそんな人物に賞を授与し、「偽悪」として褒め称え、市民の財源から賞金を贈呈することは適切なのでしょうか?

この授賞に疑問をもつ新潟市内外の人々が、「ほうっておけない第8回安吾賞–人権の視点から」(仮題)というシンポジウムを6月22日に新潟市で開催することになりました。多くの方のご参加をお待ちします。

会田氏の作品は、これまでにも、批判と議論の対象になってきました。残念ながら、作品の性暴力性を看過するばかりか、「芸術」「前衛」として高く評価する評論家は少なくなく、また、批判すること自体を、「表現の自由の抑圧」として反批判する「人権擁護」派の人々も存在します。私たちは、あらためて、かれらの論理のおかしさや不十分さを問い、「芸術」の名を借りた女性差別・人権侵害を根絶することをめざして情報発信していきます。
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メルマガ22号 児童ポルノ禁止法改正で単純所持の一日も早い処罰化を

●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.027 2014年05月23日 発行
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≪児童買春・児童ポルノ禁止法改正で単純所持の一日も早い処罰化を≫

現在国会では、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護に関する法律(児童買春・児童ポルノ禁止法)」の改正に向けての審議が進行中です。今回の改正案の最大の論点は、児童ポルノの「単純所持の禁止(単純所持とは、製造や流通・販売・陳列などの目的ではなくて、自分が見るなどの目的で意図的に所持していることを指します)」の条項を新設したことです。いわゆる単純所持を禁止して児童ポルノへの需要を抑制しようとする対策の一環です。この改正案が一日も早く成立することを願います。

しかし、私たちは現行法制下で取り締まりがきちんとなされていない「着エロ」(ちゃくえろ)の問題が、改正案でも残されたままになってしまうことを危惧しています。「着エロ」とは、露出度の高い水着を着けた状態で、子ども(時には3,4歳と思われる幼い子どももいる)が、過激なポーズをとらされて撮影された写真集やビデオの事を指します。着衣しているというだけで、これらの製造・販売は児童ポルノの取締りの対象にはなっておらず、極めて一般的な大手のインターネットサイトでもこうした「着エロ」が広く販売されているのが実態です。こうした「着エロ」では、子どもたちは扇情的なポーズをとらされ、いわゆる性行為を連想させるような姿態のポーズを取らされたり、また性器の陰影を強調されて撮影されるなど、実質的な極めて性的な対象として児童を扱っている児童ポルノそのものです。

日本では、2004年に児童買春・児童ポルノ禁止法が改正されました。その時に、めまぐるしく進化するネットの技術革新から子どもたちの性的被害を防止する必要性があるために、3年を目処に法改正を検討する旨が附則に盛り込まれました。しかし、法改正をすることなくすでに10年もの年月が経過してしまいました。この間に、多くの子どもたち、とりわけ少女たちが児童ポルノ禁止法に抵触しつつも、取締りの対象とされていない「着エロ」の被写体にされ、被害に遭い続けています。これらの製造販売は増加の一途を辿り、深刻な被害が広がっています。多くの子どもたち、時にはとても幼い子どもたちが食い物にされています。

児童ポルノ禁止法改正に向けていくつかの論点を考えていきたいと思います。

1、今必要なのは、まずは児童ポルノの単純所持を禁じ、罰則化する、そのための一日も早い法改正を望みます。さらにそれのみならず、単純所持を禁じる法律をきちんと実効的に執行してゆく事を求めます。

まずは単純所持を禁じ、一日も早く罰則化する法律を成立させること、それが第一です。しかし、それだけでなく、どのようにそうした法律を実際に効果のあるものとしてゆくかが大切です。私たちが懸念するのは、せっかく単純所持が罰則化されても、それが全く運用されないという事態が起こり得るのではないか、という点についてです。技術的側面として、児童ポルノの破棄命令が出されたりや単純所持の罰則化が行われようとしても、デジタルデータであるがゆえに、暗号化された領域やクラウド上に保存して隠すことができてしまい、児童ポルノの所有を簡単に隠蔽できてしまうという問題があり、取り締まりの時に摘発しきれない恐れがあります。そのため、法律が有形無実化し、運用されなくなってしまうことを大変懸念いたします。まずは、単純所持の処罰化をすることが何よりも大切です。さらにそれのみならず、きちんと法律を運用し、児童ポルノを自己目的のために所持している事例を取り締まってゆくことがとても大切です。

児童ポルノには、実際に被写体にさせられた子どもの被害が存在します。自分が被写体とされた画像がある限り、死ぬまで怯えながら生活をすることを余儀なくされてしまい、画像が拡散してゆく限り、それを見続ける人がいるというだけで、被写体とさせられた子どもはくりかえし被害に遭い続けてしまうという被害の特質があります。従って児童ポルノを所持しているということは、被害児童への加害行為に加担しているのと同じです。現在OECD34カ国のうち単純所持を違法化していない国は日本だけです。たとえ莫大な量の児童ポルノを所有していても持っているだけでは罪に問われません。大人の都合で被害にあった子どもたちは放っておかれているのが現状なのです。

2「着エロ」の問題への厳正な対応を求めます。

現行法の第2条の児童ポルノの定義では、第3項の一・二号で定められたものの他に、三号で次のような規定があります。児童ポルノとは、児童の姿態を視覚により認識できる方法により描写したもので、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」という規定です。普通に考えれば、「着エロ」そのものの定義です。しかし、現実にはこの法律上の定義が「着エロ」に適用されることなく、機能していない現実があります。

実際に、出演を断わると違約金が発生すると脅され、「着エロ」の出演に余儀なくされた方の話によれば、警察に被害を訴えたくても訴えられないのが現状です。もし、被害を訴え出れば、注目を浴びてしまい、多くの人に見られてしまい、更に追い詰められてしまうことを恐れているのです。これまで実際に被害を訴えたことでメディア等によって面白おかしく扱われ、さらに被害が拡大してしまった事例を複数確認しています。

3.日本では漫画やアニメなどでの子どもを性的に描いた表現が全く法の枠外に置かれています。

児童ポルノをめぐって、日本で重要な争点になると予想されることはフィクションによる漫画やアニメの性表現に関しての論議です。現在日本では、これらの“非実在”のモチーフを扱った画像には被害者はいないとされ、法の枠外に置かれています。日本では漫画やアニメで子ども達への性行為を描いたもの、子どもが親や兄弟によって性的虐待されたりレイプされたり等の画像が氾濫しているにも関わらず、こうした表現をほとんど規制することもなく、ゾーニングも実質的にはない状態で放置しています。子どもに対する性行為に寛容な社会を生み出していく危険を放置しているのです。

4、所持そのものを禁止するのではなく、「所持に対する事前廃棄命令を設ける」ことで、冤罪が減るという主張があります。しかし、いつでも廃棄したソフトを復元できてしまう危険性があります。

破棄という概念は、児童ポルノが本やビデオテープやDVDで普及していた時代には有効であったと考えられますが、現在は、児童ポルノをBitTorrent等のファイル共有ソフトを使ってインターネット上で取得し、ハードディスクに保存することが行われる時代です。たとえファイルを削除したり、破棄したつもりでも、ファイル復元ソフトウエアを用いれば簡単に復旧させることが可能であり、破棄という概念自体が既に時代遅れといわざるを得ません。

冤罪の懸念については、現在、たとえメールに添付された児童ポルノを取得するソフトウエアやルートキットを起動してしまいそうになっても、最新のOSでは、セキュリティ証明書が付いて無い出所不明なソフトウエアが起動されようとしたときは、アクセス制御が行われ、事前の警告が表示されます。アンチウイルスソフトを導入していれば、それが即知のものであればパターンを照合して判定し、未知のものはヒューリスティック検知機能を使って特有の挙動から危険性を調べてくれます。
また、メールに児童ポルノが添付されたとしても、ほとんどのメールソフトは特殊な形式かつ専用の領域に保存されるため、故意に取得したものではないことが判明します。以上の理由から、現在では、技術的な環境が整ってきており、冤罪がおきにくいと考えられます。被写体とされた子ども達のことを思えば一日も早く単純所持の処罰化を含めた法改正が必要なのです。

■ポルノ被害と性暴力を考える会編の出版物
『森美術館問題と性暴力表現』(不磨書房 2013.8)1890円+送料
『証言 現代の性暴力とポルノ被害 ~研究と福祉の現場から~』東京都社会福祉協議会 2010.11)1905円+送料
パンフレット「今は、まだ名前のない性被害があります」カンパ200円以上+送料
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メルマガ21号 アキハバラのポルノショップ探索

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                 vol.026 2014年04月14日 発行

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転載歓迎

≪アキハバラのポルノショップ探索≫
 千代田区ではこの春から「公共の場における客引き等の防止に関する条例」(2014.4.1施行)を定め、アキハバラのJKツアー(女子高生の身なりをした女性が客引きをする)に規制を入れました。もともとアキハバラはポルノのAVやマンガのメッカでその“表現”は進化の一途をたどって商品化され、たいへん賑わっています。

 その中でも、特に、「おいも屋本舗」「たちばな書店」「ラムタラ」は着エロ(着衣のエロ)ショップで有名なビデオショップです。着エロというのは、子どもにさまざまな姿態(性的なイメージを喚起させる)をポーズさせているビデオで、最小限の衣類(主としてひも状のもの)を付けさせることによってわいせつ物として摘発されるのを避けているのが特徴です。実態は子どもポルノそのものです。

 ポルノの製作・販売・消費の実態はわいせつ物概念をはるかに超えています。また、児童買春・児童ポルノ処罰法による児童ポルノの定義は「衣服の全部又は一部を付けない児童の姿態であって性欲を興奮させ刺激するもの」とありますので、素直に読めば抵触するものと思われますが、野放しです。すれすれの線で逃れているのでしょう。

 さてこのような“商品”の販売や購入の状況を見てみようとPAPSでは過日アキハバラに行きました。その様子を伝えます。

おいも屋:平日の閉店1時間前だったせいか、早い時間帯にはいる小中学生くらいの女の子の“販売員”がいないせいか、いつもいる客は誰もおらず閑散としていました。近年はネットで簡単に商品を買うことができるため、店内のジュニアアイドルの子どもたちを呼び水にしなければ、集客できないのでしょうか?
 販売されている着エロは、性的なポーズをとらされた小学生(10歳になるかならないかの子どもたち)達です。これらのビデオが沢山あり、水着姿の子どもの写真を等身大にしたパネルなどが展示されていました。

 昨年12月には、3才の女児の着エロ(児童ポルノ禁止法3号ポルノに抵触しているビデオ)が予約販売されようとしましたが、みなさまの働きかけにより、発売中止になりました。制作会社側の理由による中止とのことでした。しかし、予約販売が発売中止になったとしても、この女児が児童ポルノの被写体として撮影された事実は残ります。ネット上ではDVDのジャケットがばらまかれ、現在も見世物にされています。この女児は児童虐待防止法による要保護児童のはずですが、発売中止以降、行政が動いてくれないのです。

 もし、警察が介入さえすれば、女児の住所などすぐわかり様々な福祉の支援が届くはずなのですが、なかなかそうなってくれません。法律はあるのにどうしてか行政が動いてくれないという現状があります。また、もしもすでに保護されたとすれば大変幸いなことですが、ネット上に拡散してしまった女児のジャケットは止めようがありませんから、ポルノ画像流布による女児の尊厳への侵害とその被害は図り知れませんし、救済のしようがありません。また彼女へのさらなる被害としては、自分がされたことの意味を理解できるようになった時に自分の映像をネット上で発見する可能性です。この可能性は皆無ではありません。

 なお、「おいも」屋の謂われは、「俺の妹=おれのいもうと=おいも」です。

ラムタラ:昨年行った時とレイアウトが変わっておりました。これまでは、1階が着エロとAVコーナーでしたが、2階に変更されていました。ゾーニングを意識して変更されたものだと推測されます。それ以外はこれまでどおり、鬼畜系(ポルノの独特のジャンルで凌辱系ともいわれ、レイプやマゾ・サゾなどを主題としており、被写体をいかに過酷に扱うかとその内容は過激の一途を辿っている)から着エロまで、何でも揃うポルノデパートになっていました。数年前に騙されてAVに出演させられた人のビデオも販売されていました。しかし、いまだにその被害を訴えることができずにいます。私たちの世代で何とかしなければならないと思いました。

とらのあな:漫画販売のチェーン店です。地下1階には、いわゆる成人男性向けのポルノ漫画本が販売されており、数冊手にとって見ました。そこで思ったこととして、最近は、男児に対し女児の服を着させ、大人の男性や女児が性的にもてあそぶというストーリーが多くなってきたように思います。強姦賛美漫画は条例でゾーニングの対象だけど、女性化した男児だったらOKという短絡的発想でしょうか?

男の娘ジャンルは2、3年程前から増えています。作られた流行の印象が強いです。東京都青少年健全育成条例より前からの流れなので、これはポルノ業界のネタ切れ、新しい人気商品の需要を作ったのではないでしょうか。
 最近、女性を性的なモノに仕立てるだけでは足りず、加害的立場に投影させることで、性的な憎悪感を強化するようなシチュエーションが多くなってきているように思います。例えば、童貞を維持しながら女児や男児に性的な好奇心をもつ男性を性的に賛美して女性を劣等的に扱って成人男性の優位性を誇示したり、女性専用車両に対する男性の女性憎悪的な反対キャンペーンなどがあります。

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