メルマガ28号 PAPSに寄せられるAV出演被害について


≪転送歓迎≫
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
 とはいえ、暮れの総選挙の結果といい、1月に入って8日にパリで起きたテロ事件といい、希望を探すのが困難な政治・経済・社会の状況ではありますが、魑魅魍魎(ちみもうりょう=私利私欲のために悪だくみをする者のたとえ)がうごめくパンドラの箱の最後に残っていたものが“希望”であったという故事をこのような状況だからこそ信じたいと思います。最後に残っている“希望”を見つけ出すのは私たち一人ひとりのなすべきことだと思うのです。そしてその“希望”を見いだした一人ひとりがこんな“希望”があるよーと伝えあうことが大切ではないでしょうか。

 ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)が結成されたのは2009年の春でした。その前年に行った理論社への抗議運動を加えれば、営々と足掛け8年にわたって、ポルノには被害があるのだ、表現の自由の問題なんかじゃない、ポルノは女性(女性とは限らないのですが)に対する重大な人権侵害だと訴え続けてきました。

 現在、私たちは、特別な窓口を設けて被害者相談に乗り出しているわけではありませんが、ホームページやそのほかの手段により私たちの活動を知った被害女性や被害男性から直接被害救済のSOS相談が寄せられるようになりました。

 具体的な被害相談を通じて芸能プロダクションや制作会社、ネットプロバイダーの悪辣極まりない手口も次第に分かってきました。どんなに悪辣であるかはこのメルマガを通じておいおいお伝えしようと思います。

 私たちが具体的な被害として認識している被害はどのようなものでしょうか。極めて甚大な被害として、ネット社会では、一旦流出したポルノ映像はもはや消去できないという被害です。

 ポルノを見て楽しむのは趣味の問題で個人の自由だ、という意見があります。また、ポルノは視覚表現の一種なのだから、表現の自由は守られてしかるべきだという意見もあります。私たちは、いや、そんなことはない、ポルノは表現の問題ではなくて、人権侵害の問題だ、ポルノには被害者がいる、ということを訴えてきました。

 ポルノが紙媒体で広がり、“楽しんで”いた時代はもはや極めて牧歌的なものになりました。私たちのところに寄せられる相談の究極の目的とするところは、ネットに流されている自分の映像を消去して欲しいというものです。しかし、ネットの特質上、この願いを適えることができません。せいぜいのところ、業者のネット頒布を差し止める働きかけぐらいしかできません。もちろん、頒布差し止めを求めて業者と交渉するだけでも容易なことではありませんし、うまくいくとは限らないのです。

 相談を寄せて来る女性たち、男性たちの最大の苦しみは、ネット上の自分の動画や写真がいつ友人知人、家族にばれるか分からないという際限のない悩みにさいなまれることです。また、見ず知らずの人間であっても誰かが自分の映像を今この時にも見て楽しんでいると考える苦しみです。この苦しみには終わりがありませんし、救いがありません。

 ポルノを見て楽しんでいると思っている人たち、ポルノには被害者がいないと思っている人たちは、そのポルノは生身の人間の身体を使用して作成されているのだということを忘れています。その生身の人間は、合意し、対価を得ているのだから良いではないかという意見があります。その合意は正当な状況下でなされた真っ当な労働契約でない場合もあります。ポルノを見て楽しんでいる人たちはこのポルノが正当な労働契約の元で作られているものだとどのようにして識別しているのでしょうか。その対価はネット上に半恒久的に流され続ける状態に対する正当な対価が支払われているとなぜ分かるのでしょうか。

 自己の性的欲求充足のために他者の了解を得ることなくその身体を性的に利用してはならないと考えます。

■ポルノ被害と性暴力を考える会編の出版物
『森美術館問題と性暴力表現』(不磨書房 2013.8)1890円+送料
『証言 現代の性暴力とポルノ被害 ~研究と福祉の現場から~』
東京都社会福祉協議会 2010.11)1905円+送料
パンフレット「今は、まだ名前のない性被害があります」カンパ200円以上+送料
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申込方法
fax 03-6304-2564 又はmail paps@paps-jp.org
住所・氏名・希望部数記載の上、上記ファックス又はメールにてお申し込み下さい。
代金の授受:振り込み用紙を同封しますので、本が届き次第なるべく早くお支払い下さい。
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