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今は、まだ名前のない性被害があります

<製作中>

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証言・現代の性暴力とポルノ被害

はじめに 性暴力被害者の語りとそれを聴き伝える意味について

第1章 ポルノとは何か、ポルノ被害とは何か
1、性暴力としてのポルノグラフィ
2、ポルノ被害とはどのようなものか
3、商品化される性暴力――暴力ポルノの実態
4、盗撮と強撮の実態

第2章 当事者の声と支援者の声と
1、当事者は語る
2、支援者の声――女性のための支援施設から
3、支援者の声――子どものための支援施設から
4、支援者の声――その他の施設から

第3章 被害防止の可能性を探る――法、性教育、技術の各視点から
1、「わいせつ」アプローチから「人権」アプローチへ――ポルノに対する法規制の革新
2、売買春をめぐる論議と包括的性教育の課題――セックスワーク論の問題点にふれながら
3、現代社会の技術革新とポルノ ――その対策を探る

第4章 被害者支援の取り組みとその展望――女性のための施設と医療の現場から
1、社会の「ポルノ化」と「貧困化」の同時進行――女性福祉の根幹としての買春防止法を
2、いつまでも続く女性への性暴力と現場での取り組み――婦人保護施設の歴史と現在の課題
3、暴力ポルノと児童ポルノに抗する――性と生命の尊厳を取り戻すために

あとがき

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メルマガ11号

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.011 2012年02月28日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
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 2012年になってから最初のメルマガになります。寒い日が続き、インフルエンザが流行
っていますが、みなさんいかがおすごしでしょうか?

■シンポのお知らせ

 昨年11月に行なわれた第3回シンポジウム「子どもたちの日常を取りまく性被害~学校・
ストリート・施設」の報告と討論の内容を『報告書』にする作業がこの間行なわれていま
す。今年の4月か5月には発行できると思いますので、その時には改めてこのメールマガ
ジンで報告させていただきます。

 今年の第4回シンポジウムですが、時期は10月ごろ、場所は大妻女子大学を予定してい
ます。内容は、オーストラリアや韓国など外国からのゲストをお招きして、諸外国の経験
を踏まえて売買春被害と女性・子どもの人権に注目したシンポジウムを予定しています。
ポルノ被害と売買春被害とは地続きであり、しばしば一体のものとして存在しています。
また、実際の性行為がなされるポルノグラフィは売買春の一形態であると言えます。被害
者は、時にポルノの被写体として、時に性風俗産業の従事者として被害を受け、被害のた
らい回しをされます。

 各国の経験と取り組みを学ぶことを通じて、そうした実態を明らかにし、日本における
ポルノ被害・売買春被害の根絶のために役立てていきたいと思っています。

 その一環として、先月、オーストラリアから、研究者でありフェミニズムの活動家である
キャロライン・ノーマさんを招いて、「ポルノ被害と性暴力を考える会」および「ポルノ
・買春問題研究会(APP)」と合同で交流会を開催し、お互いの活動について報告しまし
た。キャロラインさんは、オーストラリアでポルノ被害と売買春被害の問題について長年
取り組んで来られた方で、今年のシンポジウムのゲストの一人として予定している方でも
あります。オーストラリアは、セックスワーク論の影響のもと、売買春の合法化が世界的
に最も進んでいる国の一つですが、そうした「合法的」売買春の陰で、人身売買や子ども
買春も盛んに行なわれていることがキャロラインさんから報告されました。「合法的」売
買春の繁栄は必然的に「非合法」の売買春の繁栄をともないます。前者を積極的に容認し
て後者だけを取り締まるというのは机上の空論であることがオーストラリアの経験からも
明らかになっています。

 日本では、「売春防止法」によって売買春は禁止されていることになっていますが、
それは性交をともなう狭い意味での売買春だけを規制の対象としており、いわゆる「性交
類似行為」を行なう「売買春」は完全に合法化されています。そのため、この「性交類似
行為」の売買の陰に隠れて、狭義の売買春も大規模に行なわれ、多くの売買春被害を生み
出しています。

 交流会の後、キャロラインさんとともに秋葉原に行って、子どもの着エロやアダルト
ビデオの専門店を視察しました。諸外国では「子どもポルノ」として当然規制対象となっ
ているような「着エロ」が堂々と販売されている日本の現状にキャロラインさんのみなら
ず、同行した私たちも驚きを禁じえませんでした。

 今後、シンポジウムのゲストや内容、開催時期についてより詳細に詰めていく予定です
ので、詳細が決まりしだい、このメルマガで報告します。

■理論社問題からイースト・プレス社問題へ
 私たちの会は、児童書出版社として社会的評価の高かった理論社が「よりみちパ!ンセ」
シリーズで、AV監督として悪名高いバクシーシ山下に「ひとはみな、ハダカになる。」と
いう青少年向けのポルノの紹介書を書かせて出版したことに驚いて、この本の回収・絶版
を求めて署名運動を起こしたことから始まりました。

 理論社は2010年に倒産し、なんと「よりみちパ!ンセ」シリーズはこのシリーズを企画
した編集者ごとイースト・プレス社に移管され、昨年以来シリーズは着々と再刊されてい
ます。再刊計画の中にバクシーシの本もはいっていることから、1月30日に私たちの会の
代表4人がイ社の小林茂社長に面談し、バクシーシの本を再刊しないよう申し入れを行い
ましたが、拒否されました。

 私たちは、女性に対して極めて暴力的で犯罪の証拠になるとも思われる映像を撮ること
で名を成したバクシーシの本を出版することは間違っていると考えています。イ社にこの
本を再刊する社会的意義、社会的責任を問いただし、2月末日までに、文書にて回答をい
ただくことになりました。イ社がどのような回答をするのかこの次のメルマガにてお知ら
せいたします。

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メルマガ10号

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.010 2011年12月21日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
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 先月の20日に、第3回「ポルノ被害と女性・子どもの人権シンポジウム」
として「子どもたちの日常を取りまく性被害~学校・ストリート・施設」を
開催しました。他に多くの企画が重なっていたにもかかわらず、160名以
上の参加を得ることができ、大成功を収めることができました。学校、施設、
ストリートのそれぞれの現場で多くの子どもたちと接してきたパネリストの
方たちによるリアルで具体的な話に、多くの参加者は大いに感銘を受けたよ
うでした。以下、感想文の一部を引用させていただきます。

・「養護施設・ストリート・学校のそれぞれの非常にしっかりした職場感覚
の強い方々のお話は、本当に貴重で、見すごされがちな問題を論じていると
感じた」
・「子どもが性被害にあう環境が身近なところにあること。そして、”自分の
居場所”を求めて。意志に反して自ら飛び込むこと。そんな子ども達がいるこ
とは分かっていても手を差し伸べられない現実。そんな環境をつくりだして
いるのは、われわれ大人だということ。改めて考えさせられるとともに、一日
も早く、そして、1人でも、加害者・被害者にならないよう願うばかりです」
・「それぞれの方が日々関わっている子どもたちの実態を聞くことができて本
当に勉強になった。とても充実していて、長時間が短く感じた。今日の橘さん
の話の中で、”「行政の機関だから信用して任せる」というのではなく、「こ
の人なら信頼して協力し合える」と思える人と一緒に協力している”というお
話があったが、本当に、立場にかかわらず、協力できる人・できない人がいる
だろうと思う」
・「子どもの性被害に取り組む最良の講師でした。子どもたちの声をきく場づ
くりが必要だと痛感しました。その方法を具体的に実行するには、少しでも関
心を持つ人たちを数多く作ることが第一でしょう」
・「パネリストの人選がよかったです。それぞれのパネラーから充実したお話
をきけてよかったです」
・「子どもの性被害の現場にいる方の話を伺うことができ、何が問題なのか具
体的によくわかった。司会の方が話のポイントを良くまとめてくださった」
・「学校で施設で、街中でと、現在の子どもたちの実情を、生の声で届いたよ
うに感じました」
・「こういうシンポジストの組み合わせでシンポジウムが開催されること自体
が稀なように思われ、おもしろかったです」
・「橘ジュンコさんの熱さに感動しました。いろいろな立場の人々が力を合わ
せて、この難しい問題を解決していきたいですね」
・「実際に現場で子供たちに接している方々から、表面からではない話を聞く
ことができた」
・「パネリストの方々の立場がさまざまだったので、異なる視点からの話がう
かがえてよかったです」
・「さまざまな立場の先生方から現状、問題点の指摘から、子どもの人権を守
るために何をしていく必要があるのか考えさせられた。声をくみとり、問題を
広く知るよう、多くの人が関心を持つこと、社会全体で支えていくことに向け
ての具体的な取り組みを考えていくことが大切であると感じた」
・「本人が安心して生きられる場や生き直しができる環境が少ない、という意
味では、社会が子どもをネグレクトしているといえるのだと思います」
・「立場の違う3人の方々のお話が聞けてよかった。学校・施設・ストリート、
どこも身近でありながら、「実際のところ」の話はなかなか聞けない(いろい
ろな壁にはばまれており、しかもネガティブと捉えられる事柄だから)。長時
間だったが、それでも語りつくせない問題だと改めて感じた」
・「画期的な、そして今求められている企画をありがとうございます」
・「学校や施設の立場から登壇できることはまだまだ難しい中、お話いただい
た金子さん、早川さんに感謝します」
・「家、学校、施設と子どもがいる所、どこでも性被害がある実態がわかりま
した。質問にも誠意を持って答えてくれました」
・「現状を何とかしたいと思って情報を探ったりしましたが、こんなにひたむ
きで活力のある活動を知ることができて嬉しく思います。お三方とも、それぞ
れの現場で熱心に取り組まれていて、実態がわかると共に希望が持てました」
・「施設など公的な機関につながれない子どもたち、つながるのが難しい子ど
もたちに対して、粘り強くつきあって継続的な見守りをしていくことの難しさ
や必要性を強く再認識しました」
・「それぞれの方の立場、フィールドのお話はとても刺激的で、いろいろと考
えさせられるものばかりでした。シンポジウムの中で何度かあったように、ポ
ルノや性被害の問題については構造的な視点をもって考えなくてはいけないこ
とを改めて感じました」

 12月6日の会議では、今回のシンポジウムに関する総括を行なうとともに、
来年の第4回シンポジウムについても基本的な方向性について話し合いをしま
した。複数の外国からゲストを呼び、諸外国の先進的な事例を学ぶ企画にして
はどうか、という方向性が出されました。より具体的な内容が決まりしだい、
このメールマガジンでお知らせいたします。

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メルマガ09号

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.009 2011年09月21日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
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 9月に入っても厳しい残暑の日々が続いていましたが、台風の影響か、
ここ数日、急速に秋らしい気候になりつつあります。

 前回のメルマガでお知らせした、ポルノ被害に関する啓発パンフレット、
『今は、まだ名前のない性被害があります』が無事、8月半ばに発行され
ました。すでにパンフレットを読んだ方々から、「とてもわかりやすい」、
「ぜひ多くの人に読んでほしい」と好評です。

 表紙を入れて40頁、本文37頁です。現在、できるだけ多くの人々に普
及しようと奮闘中です。みなさまもぜひご注文ください。5冊単位で注
文を承っています。送料とカンパ、事務経費込みで、5冊1000円でお分
けしています。また、関係者に大量配布したいという場合はご相談くだ
さい。こちらで検討したうえで、無料でお分けすることも可能です。

 ちなみに、私たちの会が昨年出版した『証言・現代の性暴力とポルノ
被害』が、おかげさまでこのたび増刷となりました。買っていただいた
みなさま、読んでいただいたみなさま、普及に協力してくださったみな
さま、まことにありがとうございました。

 前回のメルマガで11月20日にシンポの日取りが変わったことをお知ら
せしましたが、パネラーの方を含めてより詳細な内容が決定しましたの
で、お知らせします。ぜひみなさんご参加ください。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
   ポルノ被害と女性・子どもの人権シンポジウムⅢ
 子どもたちの日常を取りまく性被害~学校・ストリート・施設

パネリスト:金子由美子(中学校養護教諭、『季刊セクシュアリティ』編集長)
      橘ジュン(VOICES編集長、『漂流少女』著者)
      早川悟司(児童養護施設主任・自立支援指導員)
コーディネーター:二場美由紀(婦人保護施設支援員)

日時: 2011年11月20日(日)13時30分?17時
会場: 東医健保会館大ホール(JR 信濃町駅より徒歩5分)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 現在、賛同団体を募集しています。私たちの会のメールアドレスか住所
(私書箱)に、賛同団体名、簡単なメッセージ、連絡先を添えてお申し込
みください。

メール XXXX
住所 〒190-8799 JP立川支店私書箱62号

 最後に、一つ重要なお知らせがあります。私たちの会の結成のきっかけと
なったのは、児童書の良書を出してきた老舗の出版社である理論社から、
「よりみちパン!セ」のシリーズの一つとして、暴力アダルトビデオの監
督として名高いバクシーシ山下の『ひとはみな、ハダカになる。』が出版
された事件でした。青少年がこの本を読むことでアダルトビデオの世界に
入る敷居が低くなる可能性、あるいは、興味本位で『女犯』のような暴力
アダルトビデオを見てダメージを受ける可能性を憂慮して、私たちは理論
社に対して抗議し、絶版回収を求める署名運動を行ないました。

 ところが、その理論社は昨年倒産し、新たに再出発をすることになりま
したが、同社のドル箱シリーズであった「よりみちパン!セ」の版権が、
イーストプレス社に移譲されることになりました。イーストプレス社はこ
のシリーズを全巻、再刊するとそのホームページ上でアナウンスしています。

 ということは、バクシーシ山下の『ひとはみな、ハダカになる。』も
また再刊され、再び市場に出回るということです。私たちはこの事実を
知って、すぐにイーストプレス社に対して、同作を再刊しないよう訴える
要望書を出しました。しかし、今のところ、イーストプレス社からの反応
はまったくありません。

 私たちは、イーストプレス社に対して話し合いを申し込むつもりです。
みなさんもぜひ、イーストプレス社に対して同作を復刻しないよう訴えて
ください。

 ところで、新たに再出発をした理論社から、梨木香歩さん(『西の魔女
が死んだ』をはじめとする児童文学作家)の『僕は、そして僕たちはどう
生きるか』という作品が最近出版されました。これはかつて理論社のホー
ムページで連載されたものを単行本にしたものですが、その中に、まさに
バクシーシ山下の『ひとはみな、ハダカになる』(この名前自体は出てき
ませんが、これのことを言っているのは文脈から明らかです)を読んでア
ダルトビデオの世界に飛び込み、そこでひどい性暴力を受けた女性が中心
人物として登場しています。

 まさにこの作品に描かれているようにバクシーシ山下の『ひとはみな、
ハダカになる』を再刊することは、ポルノを通じた性暴力の被害者を生み
出すことに加担することであり、絶対に許すことはできません。

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メルマガ08号

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.008 2011年06月20日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
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 すっかり梅雨の季節になりました。体調を崩しやすい季節ですが、みなさん、
いかがおすごしでしょうか。 前回のメルマガ発行から2ヶ月が経ちました。
今号は、1、前回からの活動の進捗状況とシンポジウムに関する重要なお知らせ、
2、この間に被災地の避難所を支援に回ってきた仲間からの報告の2本立てでお
送りします。

■活動の進捗状況とシンポジウムに関するお知らせ

 この間、私たちの会は、ポルノ被害に関する啓発パンフレットの作成と、今年
の秋に実施する「第3回 ポルノ被害と女性・子どもの人権シンポジウム」の準
備を進めてきました。

 まず、啓発パンフレットですが、『今は、まだ名前のない性被害があります』
という題名で40頁建てのパンフレットとして鋭意作成中です。現在、内容的には
8割ほどできてきており、今年の7月末か8月初めに完成させるために奮闘中で
す。

 「第3回 ポルノ被害と女性・子どもの人権シンポジウム」ですが、前回のメ
ルマガでご報告した日程について変更がありましたので、改めて今回のシンポジ
ウムの概要についてご報告します。前回のメルマガでは、10月29日(土)に実施
する予定と書きましたが、予定していたシンポジストの方々の多くがこの日は別
の予定が入っているということでしたので、11月20(日)に日程をずらしました。
すでに、10月29日の予定を空けていただいた方には申し訳ないのですが、改めて
11月20日のご予定を空けていただければと思います。

 また、今回のシンポジウムのタイトルは、「子どもたちを取り巻く性被害――
学校、ストリート、施設」ということになりました。予定しているシンポジスト
は4名ですが、まだ演題やシンポの構成を含めて最終決定になっていませんので、
次回のメルマガでは、各シンポジストの名前と演題を含めて、最終的な概要をお
知らせすることができると思います。もうしばらくお待ちください。

■被災地の避難所の支援に回ってきた仲間からの報告

(以下は、この間、被災地の避難所を支援に回ってきた仲間からの報告です。)

 東日本大震災から6月11日で3ヶ月が過ぎました。終わらない原子力発電事故、
すすまない復興。そしていまだ9万人と言われる避難所生活をされる方、8000人
の行方不明者の捜索と課題山積で、被災者のみなさまには心からお見舞い申し上
げます。

 女性支援に携わる複数のメンバーが、先日被災地いわきにお見舞に行ってきま
した。支援物資はようやく届くようになったものの、女性ならではのものがまだ
まだ不足なのではと支援物資を車に積んで出かけました。被災地の女性支援をし
ている方々に案内していただき、津波被害を受けた海岸地域に息をのみました。
東北でも温暖な地域で津波など考えたこともなかったということで備えがなかっ
たとも言っていました。避難所を2ヵ所訪問させていただきましたが、そこで
いろいろと考えさせられる出来事に出会いました。

 1ヵ所目は中学校の体育館でした。東京から女性向けの支援物資を持ってきまし
たがと話すと、男性の責任者の方は男ではわからないので女性に聞いてと保育士
のスタッフを紹介してくれました。女子中学生が何人かいるのでこれはこれだけ
いただきます。その他には、とメンバーを思い浮かべながら必要なものを持って
いかれ、被災当日保育園の子供たちをどうやって守ったかを話してくれました。
高台に避難した後、この地方では珍しい横なぐりの雪がふったのですよと言う言
葉が印象的でした。若い保育士さんたちはとても頼もしかったです。それにして
もどんなに大変だったことでしょう。

 もう1ヵ所は70歳過ぎくらいの地域の自治会長とおぼしき男性が管理している
避難所でした。仕切りもなく(最初に行ったところは仕切りがありました)、体
育館で車椅子の方も生活されていました。東京から女性用の物資を持ってきたと
告げると「この避難所にいる人の人数分なければ受け取れない、女は難しいから、
物資が届くとずっと(いつもらえるかと)見てんだ、男みたいにさっぱりしてね
がら」と結局は断られました。きっと必要な人はいたと思うのですが。次の日、
女性がリーダーをしているボランティアセンターを訪問、今どんなニーズがある
のかを聞くことができました。

 避難所に女性の視点をというのは言われてきていたことですが、今回改めてそ
の感を強くしました。女性がどんなものを必要としているかは「暮らし」を知ら
なければわかりません。食料、水などの命に関わるものを確保したあと、必要な
ものはそれぞれ違うと思うのですが、そんなことは贅沢と思うのでしょうか。結
局持っていった物資は案内してくれた女性支援をして下さった方が必要なところ
に配ってくれました

 また原発についても、福島は震災の他に原発被害による不当な差別が起きている
という話をうかがいました。被害者が差別を受けるって、なにかどこかで見たこと
があるような構造ではないでしょうか。私たちは深い憤りを感じずにはおれません
でした。

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メルマガ07号

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.007 2011年04月14日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
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 季節はすっかり春になりましたが、先月からの大震災と原発事故のせいで素直
に春の到来を喜べない日々が続いています。私たちの会のメンバーやその親族
や近しい知り合いにも東北で被災したり、あるいは被災者の支援に当たってい
る方が大勢います。また史上最悪の水準にしだいに近づきつつある東電福島第
一原発事故は東日本のすべての人が被害者になりかねないし実際になりつつあ
る厳しい現状にあります。原発事故は、人々の安全や健康、未来の世代の安心
よりも現在の儲けと利権、浪費と欲望を優先させる歪んだ社会構造が生み出し
た人災です。これはポルノ被害を生み出しつづけている社会構造と共通してい
ます。また原発産業は、原発の現場で放射能被害の脅威にさらされながら働く
人々の人権を構造的に蹂躙することで初めて成り立つものであり、これもまた
性産業の現状と深く共通しています。

 私たちは、被災者の方々、また被災者の支援や復興に当たっている方々と心
から連帯するとともに、それぞれの持ち場において精一杯できることを今後と
もやり続けたいと思います。

 さて、前回のメルマガ発行から2ヶ月が経ちましたので、この間の活動と
今後の予定について簡単にご報告させていただきます。

 現在、昨年12月のシンポジウムを報告書にまとめる作業を進めています。
今月末か来月の連休明けにでも報告書を発行できるよう鋭意努力しています。
発行された折にはまたメルマガ等でお知らせしますのでご注文ください。

 その作業と並んで、今年の9月末の発行を目指してポルノ被害に関する啓発
パンフレットの構想を話し合っています。これは、朝日厚生文化事業団の助成
金事業の一環であり、ポルノ被害者に接する可能性のあるさまざまな現場
(福祉、医療、教育、カウンセリングなど)にいる方や一般の方々を念頭に
おいて、ポルノ被害の実態についてわかりやすく解説したものを20頁から30頁
の分量で作成する予定です。現在はまだ、ごく基本的な骨子ないし構想を話し
合っている段階です。

 今年も一昨年、昨年に引き続いて「ポルノ被害と女性・子どもの人権」シン
ポジウムを都内で開催する予定です。今年は、「学校におけるポルノ被害と性
暴力(仮)」というテーマでシンポジウムを開催しようということになりまし
た。現在、小中高大その他の教育現場では児童ポルノの制作や盗撮を初めとす
るさまざまなポルノ被害が発生しており、加害者はしばしば教師であるという
深刻な状況があります。また生徒が加害者になる場合もあります。子どもたち
にとって学校は、家庭と並んでさまざまな性被害が起きる場所となっています。
今年のシンポジウムは、教員やスクールカウンセラーなどの学校関係者の方々
の協力も得ながら、こうした深刻な現状を理解し対策を模索していく機会にし
たいと思っています。日程は10月29日(土)を予定しています。より詳しいこ
とが決まったら随時お知らせいたします。

 末筆になりましたが、震災・津波・原発の被害にあわれた方々には元どおり
の生活が戻るようお祈りとお見舞いを申し上げますとともに、私たちもできる
かぎりの支援をしていきたいと思います。また、お亡くなりになりました方々の
ご冥福を心よりお祈りいたします。

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メルマガ06号

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.006 2011年02月17日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
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 1ヶ月半遅れですが、みなさん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

 今年の最初の課題は、昨年のシンポジウムの報告集を作成することです。
昨年のシンポでは200人以上の方に参加していただき、感想文でも高い評価を
いただきましたが、その記録を報告集として残そうと、現在、鋭意努力中です。
当日は時間の関係上、十分話せなかったことや、やむなく細部の説明を省略した
ことも今回の報告集に当たっては加筆して掲載する予定です。そのため、報告者
の方には、再度、原稿を書いていただいていますので、発表まで、どうぞ楽しみ
にお待ちください。(4月に発行する予定です。)

 もう一つの課題は、ポルノ被害に関する啓発パンフレットを発行することです。
「ポルノ被害」という言葉そのものがまだ定着しておらず、また具体的にどのよ
うな被害が存在し、どのような対策が必要なのかについても、ほとんど知られて
いません。そこで、福祉施設の職員や、教育関係者、医療関係者の方々に参考に
なるような啓発パンフレットを作りたいと思っています。内容はシンプルに、わ
かりやすく、読みやすいものを作ろうと思っています。

 昨年11月に出版した『証言・現代の性暴力とポルノ被害』ですが、読んでいた
だいた方には非常に好評なのですが、何ゆえかアマゾンではずっと取り扱われな
い状態が続いており、売れ行きがあまり伸びていません。さまざまなイベントの
機会に持参して販売するようにしていますが、ぜひとも『証言・現代の性暴力と
ポルノ被害』を購入してください。アマゾンでは手に入りませんが、その他のネ
ット書店もしくは、下記サイトで入手可能です。ぜひご利用ください。
http://bit.ly/hYWGjX

 当会の創設以来ずっと会議の場として使っていた建物が、工事のために今年の
2月から使えなくなりました。先日の2月9日の会議がその場所での最後の会議
でした。参加者はみな名残惜しみながら、その建物の前で記念写真を撮りました。
3月は別の会場を探します。 online casino

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メルマガ05号

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.005 2010年12月25日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
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 もうすぐ今年も終わりですね。すっかり寒くなり風邪も流行りはじめています。
お体にはくれぐれもお気をつけください。

 さて、先月の28日に「ポルノ被害と女性・子どもの人権」パート2として、
「ポルノ被害と子どもの貧困~脅かされる子どもの性」を立教大学池袋校舎に
て無事開催いたしました。入場者数は、スタッフ・ボランティアを入れて約
220名となり、昨年に引き続き大きな成功を収めることができました。
NHKの取材を受け、翌日の朝のニュースで報道されました。

 1人目の基調報告者である日本ユニセフ協会の中井裕真さんは、「児童ポル
ノの被害と実態――国際的取り組みから」と題して、児童ポルノの実態、日本
における取り組みの遅れ(単純所持はもとより児童ポルノを購入したりもらっ
たりする行為も禁じられていないこと)などについて詳しく話してくださいま
した。

 2人目の基調報告者である立教大学教授の湯澤直美さんは、「現代日本
における子どもの貧困と子どもの性」と題して、日本における子どもの貧困率
の高さ、貧困が単に連鎖するだけでなく雪だるま式に増大していくメカニズム、
そしてそうした中で子どもを性的に利用する産業がはびこっている現状などに
ついて報告してくださいました。

 パネルディスカッションでは、まず最初に子どもの自立援助ホームの職員で
ある高橋亜美さんが、自立援助ホームを通じて支援に関わった子どもたちが置
かれている実情について胸に迫るお話をしてくださいました。

 次に福島大学の準教授である中里見博さんがポルノ被害とは何か、それに対
する法的アプローチはどうあるべきかについてわかりやすく説明し、「性的に
侵害されない権利」「性的人格権」を新しい権利概念として確立していく必要
性についてお話ししてくださいました。

 最後に、基調報告者でもある中井さんが国際的な動向に触れつつパネラーの
お話と基調報告を補完するお話をしてくださいました。

 質疑応答ではとくに中里見さんの発言に対する質問が集中しました。時間の
都合上ほとんど質問には答えられませんでしたが、今回のシンポジウムの報告
書では、もう少し詳しくお答えするようにしたいと思います。

 参加者の方に書いていただいた感想アンケートでも非常に好評でした。
 以下、いくつか紹介させていただきます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「児童ポルノの性被害の話は深く印象に残った」
「世界的な動きを知ることで、さらに物の本質のとらえ方が明確になった」
「児童ポルノ問題の理解の不足は、自分自身の問題でもあると痛感した」
「子どもの貧困と性暴力」の関連性を納得のいく展開だった」
「今まで意識化されていなかった問題が、明確に浮き彫りにされ、具体化してきた」
「子どもの貧困を繰り返さないために、自分にできることは何なのか考えたい」
「日本の子どもの貧困に国際的に見ても深刻化していることがわかった」
「被害を受けた子どもたちの「声なき声」を聞かせてもらい、大人の一人として胸が痛んだ」
「現場の声、国際的な視点からの声、理論からの声という3種類の視点から意見を聞くことができた」
「高橋さんの子ども声の代弁と、子どもに対するその姿勢がとても素晴らしい。中里見さんの説明がわかりやすかった」
「ポルノ被害および子供の貧困問題の実態を講演・資料ではじめて知ることができた」
「福祉現場で働く者としてもっとこの実態を多くの人に知ってほしいと思う」
「小・中学校の教員等も参加して積極的に研修すべき」
「現実を突きつけられて、何としても変えていかなければと思った」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 当日、出版されたばかりの『証言・現代の性暴力とポルノ被害~研究と福祉
の現場から』も発売しましたが、70冊近く売れました。引き続き販売してい
ますので、ぜひご注文ください。 ??????????

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メルマガ04号

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.004 2010年11月10日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
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 急に気候が涼しくなり、体調を崩す人が増えていますが、
みなさんは大丈夫でしょうか?

 さて、いよいよ11月になり、シンポジウムの日が近づいてまいりました。
後援団体として、新たにスウェーデン大使館が参加してくれることになり、
またメッセージも寄せていただけることになりました! これで、シンポ
ジウムの後援団体は合計8団体になりました。ここで改めてシンポジウムの
内容を宣伝させていただきます。

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★ポルノ被害と女性・子どもの人権 パートⅡ★
ポルノ被害と子どもの貧困~おびやかされる子どもの性~

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  <ポルノ、暴力、貧困、いじめ……
   子どもたちを取り巻く世界は私たちの社会の縮図です>
【日 時】2010年11月28日(日)13:30~17:00
【場 所】立教大学池袋キャンパス タッカーホール
    (JR山手線池袋駅下車徒歩15分 正門より徒歩1分)

<基調講演>
「児童ポルノの被害と実態――国際的取り組みから」
            中井裕真(日本ユニセフ協会広報室長)
      「現代日本における子どもの貧困と子どもの性」
            湯澤直美(立教大学教授)

<パネルディスカッション>
パネリスト:中井裕真、中里見博(福島大学准教授)、
      online casinos 高橋亜美(自立援助ホーム職員)
コーディネーター:宮本節子(フリーソーシャルワーカー)

【主 催】「ポルノ被害と性暴力を考える会」
【後 援】日本ユニセフ協会、スウェーデン大使館、
    ストップ子ども買春の会、東京都社会福祉協議会、
    全国女性シェルターネット、株式会社福祉新聞、
    立教大学コミュニティ福祉研究所、
    「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

★事前申し込みの必要はありません。直接会場にお越しください。
★資料代:1000円
★問い合わせ先:hpsv@app-jp.org
★FAX:03-6304-2564

 引き続きシンポの賛同団体も募っていますので、ぜひともシンポジウム
の賛同団体になってください。よろしくお願いします。
 またシンポジウム当日には、私たちの会がこの間取り組んできた著作
『証言・現代の性暴力とポルノ被害~研究と福祉の現場から』が発売さ
れます。定価の1割引での販売を予定していますので、ぜひこの機会に
お買い求めください!

 もう一つ重要なお知らせがあります。このたび、私たちの会「ポルノ
被害と性暴力を考える会」が、朝日新聞厚生文化事業団の「子どもへの
暴力防止プロジェクト助成」の対象団体に選ばれることになりました。
まったくの無一文で出発した団体でしたが、着々と仲間を広げ、多くの
方々の協力を得て、シンポジウムの開催や報告書の作成など地道な努力
を積み重ねてきたことが評価されました。

 助成はシンポジウムが終わってからの活動に対するものですので、今回の
シンポジウムにかかる費用は助成の対象にはなりませんが、少なくとも
それ以降の2年間はより安定した財政基盤のもとで活動をすることができます。

 これを契機に、なおいっそう活動の環を広げていきたいと思っています
ので、何とぞさらなるご支援、ご協力をお願い申し上げます。

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