森美術館の回答
2013年2月5日
ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)世話人
横田千代子 様
森田成也 様
宮本節子 様
湯澤直美 様
森美術館館長
南條史生
前略 1月25日付の貴信拝受いたしました。
当美術館として、以下のとおり回答いたします。
森美術館は、開館以来、内外の現代美術の重要なアーティストを日本、および世界に紹介することを一つの使命としてきました。現代美術は、我々の生きる現代社会の諸問題を実験的・批判的・挑発的に取り上げる場合も多く、まだ評価の定まらない多様な視点が登場することになります。森美術館は、法に抵触しない限り、そうした新しい視点をできるだけ広く紹介する立場を取っています。
森美術館が、日本の重要な現代美術作家である会田誠の展覧会を構成するにあたって考慮したことは、これまで会田が制作した多様な作品を、偏ること無く、できる限り網羅的に紹介することでした。彼の作品は戦争、国家、愛、欲望、芸術などについて、しばしば常識にとらわれない独自の視点を開示しています。そして諧謔(かいぎゃく)と洞察に満ちた会田芸術の本質は、彼の作品の総合的な紹介によってのみ、理解することができると考えています。
美術館は、美術を通して表現される様々な考え方の発表の場であり、それによって対話と議論の契機を生み出します。本展に関しても、多くの異なった意見を持つ方々が議論を交わすことが重要であると思われます。また日本の良さは、そのような個々人の多様な意見を自由に表現・発表できる社会となっていることではないでしょうか。森美術館は、今後も様々な現代美術の作品を、広く社会に紹介し、議論と対話の基盤となる役割を果たしていきたいと考えています。
草々