私たちは活動の一環として、被害当事者の方に聴き取り調査を行なっています。また、それと並んで、さまざまな福祉施設の職員や市民団体の方に、ポルノ被害と売買春被害について相談を受けたことがあるか、あるいはその被害について当事者から聞いたことがあるかどうかの調査を行なっています。

 ポルノ被害とは、ポルノグラフィの制作、販売、流通、消費、社会的存在などを通じて発生しているさまざまな被害のことです。具体的には以下のような被害が存在します。

 ①だましや脅迫、違約金の請求などを通じて意に反してポルノに出演させられた
 ②アダルトビデオの撮影で事前の同意や契約に反する行為をさせられた、あるいはされた
 ③ビデオの中で、レイプものやSMや中出しや露出やスカトロなど、人格性や身体の安全性や衛生を害するような行為をさせられた
 ④アダルトビデオの撮影には同意したが今ではそのビデオの存在を脅威に感じたり、それを悪用されたりしている
 ⑤ポルノに出演したが契約どおりのお金を支払ってもらえなかった、あるいはやめようとしたら違約金を請求された
 ⑥性暴力を受けたさいに写真やビデオを撮られた
 ⑦恋人や家族やその他の知人から意に反する形で裸体や性行為をビデオやカメラに撮られた
 ⑧撮影そのものには同意していたがその写真や映像を勝手にネットやメールなどを通じて不特定多数ないし特定の第三者に公開されたり脅迫に使用された
 ⑨誰かから下着や裸体などを盗撮された
 ⑩職場や学校や家庭内でポルノを無理やり見せられた
 ⑪恋人や夫などからポルノに描かれているような行為を意に反してさせられた、あるいはされた
 ⑫ポルノに影響を受けた性犯罪を受けた
 ⑬自分の名前や写真がポルノ的な形で使用された(合成写真や性的な誹謗中傷文など)。
 その他にもポルノに関連したさまざまな被害が存在します。

 また、私たちは、理由がどうあれ、商業的ポルノに出演して撮影をされた方(子どもであれ成人であれ)はすべて「商業的な性的搾取」という被害を受けたと考えています。

 ポルノ被害と密接に関連しているのが売買春(性交を伴うものだけでなく、性交類似行為を伴うものも含む)における被害です。実際の性行為を伴う商業ポルノの撮影は、同時に売買春の行為でもあります。どちらも「商業的な性的搾取」の一形態であり、売買春の中にいる女性たちは、そこにいる理由が何であれ売買春というシステムの被害者です。また、売買春それ自体の被害以外にも、以下のような被害が存在します。

 ①暴力や脅迫、あるいは借金返済などを理由に、業者ないし恋人や家族などから売春に従事することを強制された
 ②契約どおりのお金を支払われなかった、あるいは風俗をやめようとすると違約金を請求された
 ③講習と称して、店長などから性行為をさせられた
 ④店長ないし店員から性的関係を迫られたり、性行為をさせられた
 ⑤売春において契約外の行為をさせられた
 ⑥売春中に侮辱的なことを言われたり、暴力を受けたり、乱暴に扱われた
 ⑦売春中に適切な避妊・衛生措置がされなかった、あるいは拒否された
 ⑧売買春の行為中に写真やビデオを撮られた
 ⑨その写真やビデオをネットやメールなどを通じて不特定多数ないし特定の第三者に公開された
 ⑩売春行為の中でポルノを見せられたり、ポルノの中でなされている行為をさせられた、あるいはされた
 ⑪売春を通じて性感染症などの病気をうつされた
 ⑫売春中の諸行為(前戯を含む)によって健康を害した、など。
 その他にも売買春に関連してさまざまな被害が存在します。

 私たちは以上のような立場から、被害当事者のみなさんから直接、被害に関する聴き取り調査を行なっています。それと同時に、被害当事者でなくとも、その当事者からの相談を受けたり、被害の話を聞いた方からも、被害に関するアンケートをとることで、聞き取り調査および今後の会の活動の参考にさせていただいています。