ポルノ被害に巻き込まれた人々のその後の生活はとても厳しいものです。性的被害を受けた人の支援には専門家や専門機関の協力が必要です。
これまで多くの人々の努力の結果として、相談窓口や支援施設やシェルターが存在しています。しかし、これらは、その本来求められる水準からすれば非常に不十分です。支援の現場では、人も物もお金も著しく不足しており、必死の努力にもかかわらず、十分な支援を提供しているとは言いがたい現状にあります。
他の先進諸国では、政府・自治体などが積極的に性被害者のための支援・相談・治療の体制が構築されてきましたが、日本ではまだ着手されたばかりです。政府・自治体はもっと積極的に、被害者への支援体制づくり、しかるべき法整備、加害者への再教育などに取り組むべきです。
現在、「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」が学者、弁護士、カウンセラー、現場の支援者、市民活動家などを中心に結成され、包括的な性暴力防止の法整備と被害者支援の体制づくりをめざして活動しています。このネットワークにはすでに500人以上の方が参加しています。
それ以外にも、各地で被害者支援のためのネットワークや団体がつくられ、地道な活動を続けており、被害相談にも応じています(その一部として、「相談窓口・通報先一覧」を参照してください)。また、最近、各都道府県に、性暴力被害の相談や医療提供、警察への相談などを一箇所で行なえる「ワンストップセンター」ができつつあります(一覧→http://purplelab.web.fc2.com/onestopcenter.html)。被害相談・支援の輪は広がりつつあります。
私たちの「ポルノ被害と性暴力を考える会」も同じ流れの中で2009年に結成され、毎年秋に「ポルノ被害と女性・子どもの人権」をテーマとしたシンポジウムを開催しています。そして、2013年ごろから被害者からの相談がきはじめ、2015年末時点ですでに100件を越す相談が寄せられています。そのいくつかは実際に解決に至っています。
遅々とした歩みですが、すでに新しい動きが始まっています。問題は深刻ですが、私たちは無力ではありません。私たちにできることはあるのです。