AVに出演していて、困った問題に直面された方へ
1度でも“契約”に応じてしまうと、「辞めたいときに辞められない」という問題がAVの撮影現場ではしばしば起きています。AVプロダクションでは「業界大手で安心・安全」「仕事は自由に選べる」「プライベート重視」「親バレ・身バレなし」を掲げていますが、実際には、撮影に一旦応じてしまうと、やりたくないと思っても、“契約”を盾に脅されたり、怖い思いさせられたり、悔しい思いをさせられたりします。事あるごとに自宅に押しかけてきたり、「親や学校に言うよ」とか「多額の違約金が発生する」と言って断れないように仕向けることが普通に行われています。
これまで「女優」としてプライドを持ち、求められることには頑張って応じてきたのに、契約の最後のほうの撮影では、いわゆる「捨て女優」として屈辱的な撮影を要求されて、悔しい思いをされた方もおられます。
相談される方の多くは、誰からも自分の人生を否定されたくないし、“被害者”とか決め付けられたくないし、“同情”もされたくないと強く感じながらも、目には見えない漠然とした不安を抱えられながら「今」を必至に生きておられます。
あなたは、もう決してひとりではありません。不安をひとりで抱え込む必要はもうありません。あなたの生き方を尊重しつつ、いま困っていることをどうしていけばよいか一緒に考えていきませんか?相談によってはAVや性被害の問題に詳しい弁護士さんを紹介して一緒に困ったことを解決することも可能です。
現在、以下のような相談が支援団体に寄せられていますのでご紹介します。(相談者が特定されないように細部を変えています。)
Aさんのケース
私は、自らAV女優募集と書かれたホームページから面接を受けました。でもAV撮影のときに、想像していた事以上のことを要求されて、怖い思いをしました。目に精液をかけられたりして、感染症のことがとても心配になりました。その後、尿道が痛くなったり、不正出血をしたり、生理が来なくなってしまい、体のことがとても心配になりました。仕事内容もほとんど選ぶことができないまま、いろいろな事がマネージャーに決められてしまいます。AV制作会社からは家族にばれるのは時間の問題だからといわれ、「もうこの道でしか生きていけないと覚悟」を求められています、これからどうして生きていけばよいのか、先が見えない不安を抱えて今を生きています。
Aさんは、支援団体と弁護士さんに相談をして、これ以上撮影に応じなくても済み、出回っているAVの回収や破棄を行うことができました。違約金は一切支払わなくて済みました。
Aさんのその後です。
私は、「私の体を利用してAV制作会社やプロダクションは莫大な収益を得ていた」ことを弁護士さんに教えてもらい、本当にびっくりしました。現在は、支援団体の方と一緒に、インターネット上に無断で頒布されてしまったAVの削除を行っています。時間はかかりますが、ひとつひとつがんばりたいと思います。今は、元どおりの生活を送ることができています。AV製作会社の人に「もうこの道でしか生きていけないと覚悟」を求められましたが、あれは私をAVに追い込ませるための口実だったのだと思います。
Bさんのケース
最近になって大手の動画投稿サイトで、私の性行為を撮影したものが私の許可無く不特定多数に公開され、それが販売されていることを知りました。動画投稿サイトの運営会社に削除してほしいことを問い合わせると、投稿した人に私の氏名などの個人情報を伝えなければ削除に応じないとか、法定代理人に相談してくださいという返信でした。(お金も無いのに)もう、どうしたら良いのかわかりません。
注1:動画投稿サイトとは、不特定の人が投稿した動画を不特定の人が視聴できるようにするサイトのことを指します。動画投稿サイトの中には性行為を撮影した動画を有料で視聴できるようにして投稿者と運営業者が収益を得る仕組みもあります。
注2:個別の撮影内容については映像が特定されないように伏せていますが、動画サイトにおけるこのような被害事例は複数寄せられています。投稿した誰とも分からない人に対し、被写体にされた自分の氏名を晒さなければ削除に応じないのは、一種のリベンジポルノです。被写体の人を特定するために悪意のある人が意図的に公開した可能性も十分考えられます。これらを黙認しながら有料で荒稼ぎしている動画サイトの対応はあまりにも残酷です。PAPSでは、このような動画投稿サイトの運営会社へは、国内外を問わず被害のご本人からの相談があれば抗議や削除要請を行っています。
Cさんのケース
プロダクションの人にスカウトされて断りきれずに撮影に応じてしまいました。初めは普通のVでしたが、6本目から怪しい会社のVに出演させられて、廃墟のような場所で20人近くの人に中出しされました。怖かったしとても悔しかったです。自ら望んで出演したわけではなかったので、絶対に両親には知られたくないと悩んでいます。毎日、「もう消えてしまいたい」「死んでしまいたい」という気持でいっぱいです。
Dさんのケース
私は、駅でスカウトされ、知らないうちにいろいろなことが決めれらて12本も契約されてAVに出演してしまいました。それが大々的に販売されてしまい、ついには高校の同級生にも知られてしまいました。AVメーカーの人に相談しても何もしてくれませんでした。他の人からみれば、自ら望んでAVに出演してしまったかのように見えてしまいます。もう販売されていて、どうしたら良いかわからくなりました。
Bさん、Cさん、Dさんも、ネットで「AV 違約金」「AV出演させられそう」「AV騙された」という内容で検索され、支援団体に相談してこられた方たちです。支援団体がプロダクションや製作会社との間に介入した結果、違約金を払わないで和解したり、出演契約を取り消したりしています。AVの出演に関して「困ったこと」「どうしたら良いのかわからない事」がありましたら、支援団体もしくはPAPSに相談してみてください。