AVに出演させられそうになっている方へ

自分自身、あるいは自分の知り合いがアダルトビデオ(AV)やアダルト動画などに出演させられそうになっている方へ。あなたはけっして一人ではありません。

街中などでスカウトするときに、あたかも普通の芸能事務所であるかのように偽って事務所に連れて行って契約をさせ(その際、宣伝用だとしてトップレスの写真を撮られる場合が多くあります)、その後、アダルトビデオの撮影に持ち込むという手法が広く用いられています。そして、その撮影を拒否しようとすると、事務所側は、数百万円もの多額の違約金を請求したり、これまで宣伝やレッスンに掛けた費用(数十万円から数百万円)を全額弁済するよう脅したり、あるいは、トップレスの写真を親や周囲にばらまくと脅して、結局、アダルトビデオの撮影を強行しようとします。

しかし、このような手法はまったく違法であり、そのような契約は効力を持ちません。また、違約金や費用の請求も違法であり、支払う義務はまったくありません。さらに、アダルトビデオ出演の契約そのものが「公序良俗」に反しており、効力を持ちません。裁判所でも、AVプロダクション等のAV派遣業、AVメーカーは、「職業安定法」や「労働者派遣法」上の「公衆道徳上有害な業務」に該当するとされ、このような募集や派遣行為や出演行為は不法行為であると認定されています。

また契約を盾に性行為を強要することは、刑法上、強制わいせつ罪、あるいは強姦罪を適用することが可能な違法行為です。トップレスの写真をばら撒くと脅すことは脅迫罪にあたります。
たとえすでに契約をしてしまっていても、アダルトビデオの撮影に応じる義務はまったくありません。ただちにPAPSや弁護士や被害者支援団体に相談してください。

Aさんの事例(細部は変えてあります)

都内の大学に通うAさんは駅前で友達と待ち合わせをしているときに、芸能スカウトと称する人物からスカウトされました。そのスカウトに連れられて事務所に行くと、うまくあれこれと言いくるめられて契約を交わし、宣伝のためと称してトップレスの写真を撮られました。

家に帰ってきてから怖くなって、契約を取り消そうと思い、数日後、その事務所に出かけました。しかし、今さら遅いと言われ、高額な違約金(キャンセル料、バラシ代)をちらつかされ、さらにその場でレイプまがいの行為を受け、その模様をビデオカメラに撮られました。

相談する相手もおらず、結局、複数回、アダルトビデオに出演させられてしまいました。その後、弁護士に相談して、AV販売会社等に、出演作品の回収、販売中止を求めましたが、会社側はその求めに応じていません。被害者のAさんはその後、心身ともに深く傷つき、大学も続けられなくなりました。

Bさんの事例(細部は変えてあります)

都内の大学に通うBさん(19才)は、駅のホームで芸能スカウトと称する人物から「芸能活動に興味ありますか」と声をかけられました。名刺に書いてあるホームページを見ると、何名かのアーティストが登録され、特に怪しい会社ではなかったので、以前から憧れていたアイドルになれると思い、信用することにしました。

その後、芸能事務所の人から、アイドルとしてデビューするためとして、歌のレッスンや、フィットネスクラブに通ってダイエットをしたりしました。これらの費用は芸能事務所持ちでした。

20才になったある日、都心に住むように言われ、芸能事務所が指定するマンションを借りるように言われました。自分で払える額ではありませんでしたが、初期費用はすべて事務所が肩代わりするし、来月から仕事がはじまるからそれで支払えばよいと言われ、賃貸契約書にサインをして引越しました。

その数日後「オーディションが決まった」から行くようにとの指示がありました。ところがオーディション会場に行くと、それがアダルトビデオの面接であることを知りました。そこでは、本番はできるのか、アナルセックスはできるかなどを聞かれましたが、どうしたら良いのか全くわからず、知らない人たちに囲まれ、勝手にいろいろな事が決められ、最後にはトップレス姿の写真を撮られました。

帰宅してから怖くなって、スマートフォンで検索して支援団体を探して助けを求めました。数日間連絡を取らないでいると芸能事務所の人たちが、違約金のことや親や学校に言うぞと電話やメールで脅してきましたが、支援団体のスタッフといっしょに対処し、マンションも引き払いました。またAV出演契約についても弁護士と相談し、相手方と交渉して、親や学校に知られることもなく、違約金を払うこともなく、一切のAV出演をしなくてもすむようになりました。

Aさんの場合、出演させられる前に相談する相手がいなかったために、結局、AVに出演させられました。それに対してBさんは、出演する前に支援団体に相談して、無事、被害を免れました。あなたはひとりではありません、どうか勇気をもって、PAPS支援団体や性被害の問題に詳しい弁護士に相談してください。

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