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≪ 渋谷区議会:アダルトビデオ被害者救済に関する意見書を国政に提出 ≫
アダルトビデオ(AV)の制作現場で発生している性暴力、性搾取の現状は、当事者からPAPSなどの組織に寄せられる相談が増加していることや、また、昨年はAV出演を断った女性がプロダクションから2400万円もの損害賠償の民事訴訟を起こされてしまいましたが、逆に女性側が勝訴したことを多くのメディアが報道したことにより、ようやく表面に出てきた感があります。
3月には地方自治体で注目すべき動きがありました。
2016年3月31日、渋谷区の区議会において5名の区議会議員(下嶋倫朗(自民)/吉田佳代子(民進)/五十嵐千代子(共産)/栗谷順彦(公明)/薬丸義人(シブヤを笑顔にする会))によって提案された「アダルトビデオ出演等の強要の防止及び被害者の救済に関する法整備を求める意見書」が全会一致で可決され、衆参両議院議長及び関連大臣に提出されることになりました。おそらく、地方自治体でAV被害問題に取り組んだ初めての例だと思われます。
なお、この日、渋谷区議会では「子どもを性の対象とすることを容認しない法改正を求める意見書」も全会一致で採択されています。
以下意見書の全文を掲載します。
≪ アダルトビデオ出演等の強要の防止及び被害者の救済に関する法整備を求める意見書 ≫
近年、若者が路上等で勧誘され、その意に反してアダルトビデオやアダルト動画チャット(ネットを介した性的な動画交信)に出演させられたという被害が相次いでいる。勧誘当初はアダルトビデオ業者である事を隠し、学生証や身分証明書をコピーする等の手段により出演を強要するなど、その手口は極めて悪質である。かかる行為は、個人の自由を奪い、暴力や脅しや騙しを使って個人の意に反して働かせ、その利益を搾取する犯罪行為である。
渋谷区には40社以上のアダルトビデオ・プロダクションが存在し、過去2年間に被害者支援団体に寄せられた相談114件のうち41件は、渋谷区内で勧誘、撮影、又は制作が行われた実態があり、その被害は急増傾向にある。
渋谷区はこれらの実情に鑑み、渋谷区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例に基づき勧誘行為を禁止し、対策の強化に取り組んでいるものの、国による抜本的な対策が急務である。
よって渋谷区議会は、国会及び政府に対し、こうしたアダルトビデオ業者等による個人の意に反する形での勧誘、雇用、派遣、制作、販売、貸出し、配信等による性的被
害を防止し、実態調査、公安委員会への届け出、立ち入り調査等による被害者の救済を行うため、罰則付きの総合的な法整備を強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年3月31日
渋谷区議会議長名
衆議院議長/参議院議長/内閣総理大臣/法務大臣/厚生労働大臣/内閣官房長官
国家公安委員会委員長 あて
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現在、PAPSとLighthouseでは2014年4月からポルノ被害、性風俗被害に関する相談支援事業を行っています。2016年4月16日時点で、相談者の累計は150名になります。東北・関西・九州・北海道など東京以外の相談が増えてきています。遠隔地の相談者の場合には、現地の支援者や弁護士との連絡調整を図るためにスタッフが現地に赴いたりしています。このような活動をするためには交通費や滞在費などがかさむので実効ある支援体制をなかなか構築できないのが現在の大きな悩みです。
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